2268脳血管内治療の進歩2017
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32はじめに1 急性期血行再建術に関する複数のエビデンスと血栓回収デバイスの進歩により,治療を行う機会はかなり増加してきており,多くの症例では治療が問題なく完遂できるようになった.しかし,一部の症例では治療に難渋することもある.ここでは,急性期血行再建術における種々のtipsについて解説する.バルーン付きガイディングカテーテルの誘導におけるtips2 急性期血行再建術を行う際,まずバルーン付きガイディングカテーテル(balloon guiding catheter:BGC)を早く,安全に留置することが手技の第一歩である.またBGCの中でも,治療の多様性を考慮して9Fr BGCを留置することが重要である. 一般的にガイディングカテーテル(guiding catheter:GC)誘導が困難とされる大動脈弓部の解剖学的要因として,動脈硬化が高度で屈曲が強い症例やtype 3 aortic arch,Bovine aortic archがあげられる.対処方法としては,Carotid-compression techniqueやGoose-neck snareでBGCを保持する方法,総頚動脈直接穿刺等がある.吉村らは,GC誘導困難例に対してCarotid-compression techniqueを用いることで,手技成功率83%,手技合併症0%と報告している1).このテクニックは安全,簡便であり,時間を消費することなく施行可能であることから,緊急血行再建術において有効と考えられる.Goose-neck snareを用いる方法は,上腕動脈穿刺の追加が必要な国立病院機構九州医療センター脳血管内治療科 津本智幸急性期血行再建術における種々のtips6Essential Point◉ 急性期血行再建術に関する複数のエビデンスと血栓回収デバイスの進歩により,治療を行う機会は増加しているが,ときに難渋する症例が存在する.◉ バルーンガイディングカテーテル誘導が困難な症例にBalloon Inflation Anchoring Tech-nique が有効なことがある.◉ ステントリトリーバーが不得手とする病変としては,①血栓が長い場合,②血栓が硬い場合がある.◉ 5MAX ACEは内腔が広いため,ステントリトリーバーで絡めた血栓を丸ごと5MAX ACE内に回収できる可能性が高い.◉ 動脈硬化性閉塞の第一選択として,ステントリトリーバーを用いることに関して一定の見解は得られていない.I 基礎から最新知見まで

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