2268脳血管内治療の進歩2017
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I 基礎から最新知見まで33うえ,手技が比較的煩雑であるため,緊急時には不向きである.1BGC誘導困難例に対するBalloon In-flation Anchoring Technique(BIAT) 誘導困難例に対する比較的簡便な方法として,BIATを紹介する.BGCとして9Fr OP-TIMO(東海メディカルプロダクツ,愛知)や9Fr Cello(Medtronic),インナーカテーテルとして6Fr JB2カテーテル(メディキット,東京)を使用し,co-axial systemでBGC誘導を行う.BGC誘導以前にガイドワイヤーを誘導することが困難な場合や,6Fr JB2 カテーテルの誘導が困難な場合は,インナーカテーテルとして,折り返し後の丈が10cmと長くてバックアップの強い6Fr modified Sim-mons SY6 カテーテル(ガデリウス・メディカル,東京)(図1)を使用する. BGC誘導困難例では,インナーカテーテルを腕頭動脈,左総頚動脈へ誘導しようとすると上行大動脈に滑落してしまう.そこでインナーカテーテルを腕頭動脈,左総頚動脈に引っかけた状態にして,BGCのみを進める.インナーカテーテル先端になるべく近づけ,腕頭動脈起始部もしくは左総頚動脈起始部に到達すれば,バルーンを最大拡張させ,BGCを血管に固定させる(図2).そのうえでインナーカテーテルを末梢側へ誘導し,BGCのバルーンをわずかにdeflateし,血流に乗せながらBGCを追従させて目的の位置まで誘導する.2経上腕動脈アプローチ 大腿動脈や胸腹部大動脈の屈曲・狭窄・閉塞がある場合は,経大腿動脈アプローチでは困難であり,上腕アプローチを選択することになる.Haussenらは,緊急血行再建術において,鼠径部,大動脈弓部の解剖学的要因から経大腿動脈アプローチが困難な症例に対する経橈骨動脈アプローチの有用性を報告している2).1,001症例のうち15症例,1.5%で経橈骨動脈アプローチが行われ,手技合併症なく治療を完遂している.しかしながら経大腿動脈アプローチから経橈骨動脈アプローチへの切り替えに平均1.9±1.3時間を要している.さらに,橈骨動脈穿刺から閉塞血管の再開通まで平均2.2±1.0時間を要しており,緊急血行再建術の手技時間としては浪費時間が長いことがわかる.つまり,経大腿動脈アプローチが不可能な場合においてのみ,経上腕動脈アプローチが選択されるべきであり,また経大腿動脈アプローチ不可能の判断を迅速に行わなくてはいけない.total length 140cm10cm4Fr6Fr図1 6Fr modified Simmons SY6 カテーテル

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