2271ミトコンドリア病診療マニュアル2017

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122　治療に先立ち，病状の把握のために体重，認知機能，運動能力（筋力），ADLなどの評価や，採血・検尿による乳酸値，肝・腎機能や耐糖能（血糖値）の検査を定期的に行う．また，てんかん，心機能（心筋症，不整脈）の評価のために，脳波，心電図・心エコー検査や，必要に応じ頭部MRI検査，眼科・耳鼻科・循環器内科などでも診察を行う．　特異的・根本的な治療法はないが，対症的な治療，特にてんかんや心症状に対する薬物治療や，難聴に対する補聴器などの作成・調整，筋力低下・廃用予防に対してのリハビリテーション（有酸素運動）1）によって，QOLの維持に努める．ミトコンドリア機能への負担を避けるため，暴飲暴食や飲酒，喫煙，睡眠不足，激しい運動は控えるよう指導することも重要である．MELASや他のミトコンドリア病で効果が期待されるL‒アルギニン，ピルビン酸，EPI‒743などが，同じくMERRFでも期待されるが，有効性の実証はまだなされていない．ミオクローヌスてんかんの治療については，CQ42を参照．CoQ102）やL‒カルニチンなどの代謝賦活剤や抗酸化作用を有する薬剤（ビタミン剤）の併用もよく行われる．文　献 1） Taivassalo T, et al. Implications of exercise training in mtDNA defects‒‒use it or lose it?. Biochim Biophys Acta 2004；1659：221‒231. 2） Rodriguez MC, et al. Beneficial effects of creatine, CoQ10, and lipoic acid in mitochondrial disorders. Mus-cle Nerve 2007；35：235‒242.（井川正道・米田　誠）MERRFF第2章　各　論MERRFの特異的な治療は？CQ45