2275国立成育医療研究センター 基本から実践まで!! すぐに役立つ 医療保育実践マニュアル
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11Ⅳ.保育活動A 保育の基本B 保育の実践C 多職種連携と医療現場における保育士教育(2)環境構成集団保育をする場合は,参加する患者の年齢や人数に応じて適切な場所(プレイルーム,食堂,病室のいずれか)を検討します.特にベッドや車椅子で参加する患者が多い場合には,広いスペースで行えるよう実施場所を検討します.車椅子,バギー,ベッド,医療機器(点滴台,酸素ボンベ,人工呼吸器など)を使用している患者が参加する場合は,患者の動線を考えてテーブル,椅子を配置します.患者や家族とプライバシーにかかわる内容を会話するときや生活援助をするときには,同室の患者・家族の有無を確認して適切な支援の場所を設定するとともに,カーテンやドアを使用するなど,周囲の環境に配慮します. (3)物品‌誤飲の可能性がある玩具や教材は,参加する患者の年齢や発達段階に合わせて保育士が見守るなか使用します.保育のなかでハサミを使用する際は,患者がチューブ類※や髪の毛・身体などを誤って切ってしまうといったインシデント・アクシデントが発生しないよう,患者の医療機器の有無や年齢・発達段階に考慮し,保育士が見守るなか使用します.◦本書のなかでは,輸液ルート,胃管チューブ,ドレーンチューブなどのことをまとめてチューブ類としています.用語説明※チューブ類保育活動の実施3 保育士は,遊びや日常生活など様々な場面で,患者と家族にかかわります.保育士は医療チームの一員として,患者・家族が「安心・安全・安楽」のなかで過ごせるようなかかわりや,情報収集をもとに個々の患者の病状や安静度,発達段階に応じた支援をすることが大切になります. 患者・家族への介入において配慮する必要がある点を以下に示します.個々の保育のねらいに沿ってかかわり,日々の保育の評価を行う(A章I参照).全ての患者が安全な環境のなかで過ごせるために,患者の行動をよく観察し,転倒,転落,かみつき,ひっかき,チューブ類の事故抜去,誤飲などの事故防止に努めます.患者および家族の行動,しぐさ,言葉,視線などを注意深く把握し,「何を見ているのか」「何を考えているのか」「何を感じているのか」「何を望んでいるのか」などを考慮して,患者と家族の気持ちに寄り添ってかかわります.患者と家族の言動や様子を観察し,コミュニケーションを図るなかで,患者と家族に対する支援に必要な情報を得ます.患者の様子や状態に異常がある場合(体熱感,発汗,多呼吸,チアノーゼなど)や医療機器モニターのアラームが鳴った場合は,看護師に報告します.患者の顔色,疲労感,倦怠感,活気などを観察し,保育活動の休息や中断,医師・看護師への報告など,必要に応じた配慮を行います.個々のスケジュールを把握し,タイミングよく遊びや活動を区切れるよう展開したり,コミュ

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