2279内科医のための抗不安薬・抗うつ薬の使い方
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139ドパミン系全体を安定させ,ドパミン・システム・スタビライザーともよばれる非定型抗精神病薬.D2受容体に対する親和性は高く,内因性ドパミンと容易に置換する.統合失調症への適応とともに,通常の抗うつ薬治療で十分な効果が認められないうつ病・うつ状態に強化療法として用いる.双極性障害の躁状態にも用いられる.ほかの抗精神病薬よりも過鎮静,QT延長,高プロラクチン血症,錐体外路症状,代謝障害は生じにくいが,アカシジアは起こりやすい.作用機序・ドパミンD2受容体の部分作動薬で,内因性ドパミン濃度が高ければ拮抗薬,低ければ作動薬として作用する・セロトニン5-HT1Aには部分作動薬として作用し,セロトニン機能を増強する・セロトニン5-HT1D,2A/2B受容体を遮断し,セロトニン機能を調整する・セロトニン5-HT7受容体を遮断し,睡眠覚醒リズムを調節する・アドレナリンα1受容体,ヒスタミンH1受容体,ムスカリンM1受容体への作用は弱い薬剤・薬効分類名 抗精神病薬・商品名 エビリファイⓇ(大塚)・ 剤型 錠(3,6,12mg),散(1%),液(0.1%),口崩錠(3,6,12,24mg),持続性水懸筋注(300,400mg)の適応は統合失調症のみ   抗精神病薬効能・効果・用法・用量・統合失調症(6~30mg,分1~2)・双極性障害における躁症状(12~30mg,分1)・うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る,3~15mg,分1)薬物動態・Tmax:約4時間・T1/2:約61時間・肝代謝(CYP3A4およびCYP2D6)使用上の注意警告・ 糖尿病性ケトアシドーシス,糖尿病性昏睡等の死亡に至ることもある重大な副作用が発現するおそれがあるので,本剤投与中は高血糖の徴候・症状に注意すること.特に,糖尿病またはその既往歴もしくはその危険因子を有する患者には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ投与することとし,投与にあたっては,血糖値の測定などの観察を十分に行うこと禁忌過敏症,昏睡状態,バルビツール酸誘導体・麻酔剤などの中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者,<併用禁忌>アドレナリン,ボスミン重大な副作用悪性症候群,遅発性ジスキネジア,麻痺性イレウス,アナフィラキシー,横紋筋融解症,糖尿病性ケトアシドーシス,糖尿病性昏睡,低血糖,けいれん,無顆粒球症,白血球減少,肺塞栓症,深部静脈血栓症,肝機能障害副作用不眠,神経過敏,不安,傾眠,アカシジア,振戦,肝機能検査値異常,CK(CPK)上昇,体重減少,体重増加,筋強剛,プロラクチン低下などNCH2CH2CH2CH2O NClClNHO・H2O6-2-① 非定型抗精神病薬―アリピプラゾール第Ⅱ章抗不安薬・抗うつ薬各論―E 主に躁うつ病に用いる薬物アリピプラゾール統合失調症非定型抗精神病薬双極性障害うつ病

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