2290新 小児てんかん診療マニュアル
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では明らかなHLAの報告はないが,治験の中で投与量の増加速度をかなり抑えることで頻度が減少した経験があり,遺伝素因のみならず,薬剤濃度の変化速度も発症に寄与している可能性がある(参照:Column「薬疹の再発」).リスクが高いと推測されるLTGなどでは,決められた初期投与量・増量スケジュールを厳守する必要がある. 抗てんかん薬による軽症薬疹の発症率は,当センターの21,655例の調査では0.545%(118例)であった8).必ずしもHLAなどの体質の強い関与はわかっていないが, CBZ(61例),PHT(32例),フェノバルビタール(PB)(14例)が多かった(参照:Column「抗てんかん薬以外の薬疹」). 病因・病態の薬疹発症率への影響にも注意が必要である.筆者らの検討では,脳炎後てんかんでは薬疹が23.9%と高頻度に出現,脳炎後1か月以内に多いが,薬剤(発生率)ではPHT(25%),LTG(25%),PB(14.2%),CBZ(11.1%)などが多い10).脳炎後てんかんの病態には免疫が関与しており,薬疹を含め副作用が起こりやすい状態であると思われる.脳炎後てんかんでは急性期に薬疹が出ても,DLSTなどを参考に再使用可能な場合があり,LTG(2年後),CBZ(3か月後),PB(1年後)で,きわめて慎重な導入で再使用できた症例を経験している. 抗てんかん薬による薬疹の既往のある症例では,薬疹の起こりやすい抗てんかん薬(PHT,LTG,CBZなど)を避け,起こりにくい薬剤を選択する必要がある.薬疹後の使用としては,クロナゼパム(CZP),レベチラセタム(LEV),ジアゼパム(DZP)などが比較的安全と報告されている11). 眠気には,薬理関連・投与薬剤関連性の副作用として起こるものがある.抗てんかん薬の中枢神経系での作用点は,抑制シナプス伝達機能を高めるものと,興奮性シナプス伝達機能を抑制するものに大別でき,前者はGABA増強作用によるものが多い(図1)5).PB,クロバザム(CLB)やCZPやニトラゼパム(NZP)などのベンゾジアゼピン(BZD)系薬物,VPA,トピラマート(TPM),ビガバトリン(VGB)などがこの抑制系賦活作用機序を有していて,抗不安作用,睡眠作用を有する薬剤も多いため眠気などが出やすい.初期投与量が多いと眠気が起こりやすく,中止せざるを得ないこ眠 気3Column薬疹の再発 当センターの抗てんかん薬によると思われる軽症薬疹118例中14例(11.9%)が複数の抗てんかん薬による薬疹を経験し,7例(5.9%)が抗てんかん薬以外の薬剤による薬疹を経験していた7,8).一方,抗てんかん薬によると思われる重症薬疹21例中10例(47.6%)が複数の抗てんかん薬による薬疹を経験し,4例(19.0%)が抗てんかん薬以外の薬剤による薬疹を経験していた.抗てんかん薬以外も含めて,何らかの薬疹の既往がある症例では薬剤選択,開始投与量や増量速度に注意が必要である.Column抗てんかん薬以外の薬疹 当センターの21,655例の調査では,抗てんかん薬以外の薬剤(主に抗生剤)による軽症薬疹が38例(0.175%)にみられた8).K抗てんかん薬の薬物療法の基本109K. 抗てんかん薬の薬物療法の基本 2. 副作用

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