2291最新NICUマニュアル 改訂第6版
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22A在胎22~23週の児の管理 特に在胎22週の児は,未熟性が非常に強く出生後の合併症を起こすリスクが非常に高い.そのため,両親へ十分なインフォームドコンセントを行う必要がある. 在胎22~23週の児では,ルートは臍帯動静脈を使用し,出生後の検査・処置は最小限としてminimal handlingに徹する. 生育限界に近い,在胎22~23週の児,特に22週の児は未熟性が非常に強く,それ以降の週数の児と同じ管理では治療に難渋することがある.わずかなストレスで容易に脳室内出血(intraventricular nemorrhug:IVH)を生じ,児の皮膚は損傷されやすく,敗血症を発症し致命傷になることもある.生存退院できてもIVHや脳室周囲白質軟化症(periventricular leukomalacia: PVL)による神経学的後遺症や発達障害をきたす率が高い.最近は23週の児では生存退院し,良好な神経学的予後を期待できる例も増えてきている.これらの児の管理のマニュアル化は不可能であるが,現時点の当院のおおまかな方針を示す.1 両親へのインフォームドコンセント わが国におけるその週数の児の生存率に関するデータに加え,自施設でのデータを示し,その週数の児の一般的な予後を十分に理解してもらう.22週での出生の場合には,両親との話し合いや児の状態から,「蘇生を行わない」方針になったとしても,児へ愛情を向けてもらえるよう,医療者サイドが両親,児へのケアを十分に行い,話し合う機会をもつことが重要である.治療方針の根拠,両親との面談内容は必ずカルテに記載しておく.2 分娩方法の検討 原則的には,経腟分娩を選択する.この週数の児の帝王切開は必ずしも児の予後改善につながらないが,当院では家族の希望があれば帝王切開を選択している.近年,生存率が上昇しており,23週であれば帝王切開を行う施設もある.3 出生後の処置 ルート確保は臍帯動静脈を使用する.4 急性期の管理方針 1週間は体重測定を行わず,採血量も最小限とする.エコー検査以外は児の触診も控える.5 栄養管理 当院ではこの週数の児での超早期授乳は行っていないが,原則として母乳を注入する方針である.高カロリー輸液も積極的に行う.体重は成長曲線に沿うことが望ましい.生後1か月以内の低栄養は,身体発育および知能予後に対し不可逆的経過をとる可能性がある.6 感染対策 抗菌薬,抗真菌薬などを投与する.皮膚成熟を促すため,クベース内湿度は早めに下げていく.

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