2291最新NICUマニュアル 改訂第6版
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51(例えば肺胞虚脱や無気肺のように,肺に到達した血流がガス交換されずに左心房に戻る状態)の場合も低酸素となる.酸素化不良・原因 拡散不全: 肺浮腫・新生児一過性多呼吸(transient tachypnea of the newborn:TTN),肺炎,間質性肺炎 ガス交換面積の低下:気胸,無気肺 肺血流減少: 新生児遷延性肺高血圧症(persistent pulmonary hypertension of the newborn:PPHN),肺高血圧症(pulmonary hypertention:PH),肺塞栓,肺血流減少型心疾患 肺内シャント:無気肺,肺胞の虚脱・対応 酸素投与 MAPを上げる ※MAP=(PIP-PEEP)×Ti×RR/60+PEEP  (PIP:最大吸気圧,PEEP:終末呼気陽圧,Ti:吸気時間,RR:呼吸回数) 酸素は拡散が重要であったが,一方,二酸化炭素には換気が重要である.二酸化炭素が貯留した場合は,気道抵抗の上昇(吐きにくい),肺のコンプライアンス低下(膨らみにくい)などの換気障害を考える.よって,二酸化炭素を減少させるために,呼気時間を長くする,または分時換気量を増加させるとよい.二酸炭素貯留・原因 気道抵抗の上昇: 気管軟化症,チューブトラブル,痰貯留,慢性肺疾患(chronic lung disease:CLD)(末期) コンプライアンスの低下: CLD(初期),呼吸窮迫症候群(respiratory distress syndrome:RDS)など・対応 気道抵抗が高い:呼気時間を長くする(吸気時間を短くする) 肺コンプライアンスが高い:分時換気量を上げる※ 分時換気量=1回換気量×呼吸数であるため,⊿P(=PIP-PEEP)または呼吸回数を増加させる設定に. 酸素化不良➡拡散障害・ガス交換面積の減少➡MAPを上げる. 二酸化炭素貯留➡換気障害➡分時換気量を上げる,呼気時間を長くする. (b) 未熟な肺の特異性 肺は,気道・肺胞の順で形成され,在胎20週台は気道が分化していく細管期と肺胞がつくられ始める終末囊期にあたる(表1)1).早産児の特徴として,気道や肺胞,間質,血管の構造がそれぞれ発達途中であり,換気・拡散能が低いこと,肺血管抵抗が高いため肺高血圧になり表1 肺の発達胎生16~26週細管期(canalicular stage)細気管支の分化,間質菲薄化胎生26~36週終末囊期(terminal sac stage)肺胞の形成胎生36週以降肺胞期(alveolar stage)肺胞二次中隔ができ,肺胞の数が増える◆ 呼吸器疾患A第3章各疾患の総論,各論

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