2299よくわかるNew保育・教育実習テキスト 改訂第3版
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301 教職員の協力・連携の必要性 中留も指摘するように4),カリキュラム・マネジメントが,「各教科のマネジメント(運営)のみではなく,それを含めて,学校全体のトータルなカリキュラムを,教育目標の達成に向けて動かしていく(機能させていく)ことに他ならない」ものだとすれば,養成カリキュラムにおいて重要な位置を占める実習は,専任教員全てがかかわり,その指導を展開していくことが求められる.いわば,全員体制である.保育者及び教師の養成課程の専任教員である限り,目の前の学生のニーズもふまえ,養成教育への自覚と責任が求められるのは当然であろう.特に,実習の指導は実習の訪問,日誌の点検,反省会の実施等,実務として一部の教員だけでは担いきれない現実もある.その意味でも,全教員の協力・連携は不可欠なのである.同時に,実習の事務作業に関して,事務職員の協力も不可欠である. このように,充実した実習教育を展開するためには,全ての教職員が養成課程の教育目標を共有し,協力・連携し合うことが求められる.協力・連携なくして,実習カリキュラムを有効に機能させることはできないことを念頭に,実習の指導体制づくりを進めたいものである.2 実習運営委員会の組織 養成課程を有する限り,全教員が実習の指導にあたることは当然ではあるが,各教員の役割を整理し,円滑な実習教育を展開するためには,それをマネジメントする組織が必要となる.これを仮に「実習運営委員会」と呼ぶとすれば,その組織は各実習科目の担当教員と実習事務を担当する職員によって構成されることが一般的であろう. この「実習運営委員会」は,全教職員の協力を始め,多様な実習先との連絡・連携といった実習運営を中心的に担う組織である.また,この「実習運営委員会」の働きによって,実習に関する研究・協議を充実させ,実習の向上を図る必要がある. 「実習運営委員会」の中核をなす各実習科目の担当教員は,当然,その専門性をふまえて配置されるべきである.ただ,実習そのものを全員体制で進めることが基本であるとすれば,各実習科目の担当者を複数制とし,サブ的立場を専門の異なる専任教員が交代で担うことも一案である.つまり,全教員が順次,実習の運営委員を担い合うわけである.これにより,全教員は各種実習の運営を体験する中,実習の意義や方法も熟知し,互いの協力・連携への意識も向上するだろう.いわゆる委員会方式は,ややもすると,委員に一任するという意識を強める.その結果,委員の専有化も進み,組織が独善的C 実習指導の組織体制

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