2308小児消化器内視鏡ガイドライン2017
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解説文 表1にAmerican Society for Gastrointestinal Endoscopy(ASGE)のガイドラインに記載のある,小児におけるEGDの適応を示す1).北米の12施設における小児内視鏡データベースに基づくEGD 17,180件の解析では,主な適応は腹痛(38%),嘔吐(20%),逆流症状(16%),悪心(9%),体重減少(7%),ディスペプシア(6%),嚥下障害(4%)の順であった2).また,症状にかかわらず,逆流性食道炎や胃・十二指腸潰瘍,さらにはヘリコバクター・ピロリ胃炎,好酸球性消化管疾患に分類される好酸球性食道炎(eosinophilic esophagitis:EoE)・好酸球性胃腸炎(eosino-philic gastroenteritis:EGE),炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD),セリアック病などの特異的な疾患の診断・評価目的にEGDが有用である.小児EoEのメタアナリシスでは,EGDによるEoE有病率は3.7%であった.また,欧米においては,食片圧入(food impaction)や嚥下障害を訴えた患者では63~88%がEoEと診断されているが3),わが国におけるEoEの患者は少なく,この限りではない.しかしながら,同症状が遷延する小児では,適切なタイミングでEGDを考慮すべきと考えられる.また,腹痛の精査目的でEGDを行ったところ,38%で確定診断に至り,EoEが3.8%,EGEが4.1%に見られたとする報告がある4). 小児IBDの診断基準であるPorto Criteriaの改訂版では,IBDを疑った症例でEGDを行うことが推奨されている5).クローン病患者の9%でEGD所見が診断の決め手となったとする報告がある6). 既にIBD,EoE,EGEなどによる病変が確認されている症例では,内視鏡所見と病理組織所見による粘膜の評価が治療効果判定としても有用である. 症状の原因となる器質的疾患の診断にEGDが有用と考えられる症例では,小児の内視鏡検査が可能な施設や小児消化器病診療に精通した医師への紹介を積極的に考慮する. EGDの禁忌事項は前文に述べた通りショック,重篤な心肺疾患,腹膜炎,穿孔などがあげられる.凝固異常症,好中球減少症を有する場合にも,適応を慎重に判断する.該当する場合には検査を実施することの益と害を評価することが重要である.4ステートメント推奨の強さ(合意率)エビデンスレベル腹痛や悪心・嘔吐,体重増加不良,下痢などの原因として上部消化管疾患が疑われるときに上部消化管内視鏡検査を行うことを提案する(表1参照).2(弱い推奨)(72.2%)B既知の上部消化管疾患の経過観察のために上部消化管内視鏡検査を行うことを推奨する.1(強い推奨)(88.8%)B食道静脈瘤や消化管出血,胃食道内異物などの診断・治療のために,上部消化管内視鏡検査を行うことを推奨する(表1参照).1(強い推奨)(94%)Bどのようなときに上部消化管内視鏡検査がすすめられるか?CQ1

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