2312アルポート症候群診療ガイドライン2017
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Ⅵ 遺伝カウンセリング68❖❖アルポート症候群は遺伝性疾患であり,遺伝カウンセリングの対象となる.❖❖遺伝カウンセリングにおいては,クライアントが遺伝的リスクを理解し,自律的に意思決定するプロセスを,医療者がクライアントの最善の利益を考えながら非指示的に助力することが重要である.❖❖アルポート症候群の発端者の家族に対して,本疾患を想定して尿検査等による評価を実施する際は,遺伝学的検査に該当するため検査前遺伝カウンセリングが行われることが望ましい. 遺伝カウンセリングは,対話と情報提供を繰り返しながら,遺伝性疾患をめぐる医学的または心理的問題に対する医療行為である.遺伝カウンセリングで大切なことは,クライアントが遺伝的リスクを理解し,自律的に意思決定するプロセスを,医療者がクライアントの最善の利益を考えながら非指示的に助力することである.また,遺伝カウンセリングの内容に関する診療録がプライバシー等を損なうおそれがある場合,通常の診療録とは切り離して記載・保存するなど,慎重な対応が求められる. 日本医学会「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」では,遺伝カウンセリングについて,以下の記載がある1). 「遺伝カウンセリングは,疾患の遺伝学的関与について,その医学的影響,心理学的影響および家族への影響を人々が理解し,それに適応していくことを助けるプロセスである.このプロセスには,1)疾患の発生および再発の可能性を評価するための家族歴および病歴の解釈,2)遺伝現象,検査,マネージメント,予防,資源および研究についての教育,3)インフォームド・チョイス(十分な情報を得た上での自律的選択),およびリスクや状況への適応を促進するためのカウンセリング,などが含まれる.」 現在,わが国には,遺伝カウンセリング担当者を養成するものとして,医師を対象とした「臨床遺伝専門医制度」と非医師を対象とした「認定遺伝カウンセラー制度」があり,いずれも日本人類遺伝学会と日本遺伝カウンセリング学会が共同で認定している.遺伝カウンセリングに関する基礎知識・技能については,すべての医師が習得しておくことが望ましい.また,遺伝学的検査・診断を担当する医師および医療機関は,必要に応じて,専門家による遺伝カ遺伝カウンセリングとは 1遺伝カウンセリング1

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