2313成人スチル病診療ガイドライン2017年版
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 3本の症例対照研究において,成人スチル病(adult Still’s disease:ASD)以外の発熱性疾患を対象とした場合に皮疹の有無が診断特異度を上昇される可能性が示唆され,特に一過性,ASDに典型的な皮疹はASDに特異性が高い所見であることが示唆された. また,2本の症例集積研究の結果から,ASDの経過中に顔面,頸部,体幹,四肢伸側などに持続性紅斑が高頻度(64~78%)に認められ,病理学的には一過性紅斑が表在血管周囲の炎症細胞浸潤であるのに対して,持続性紅斑は表皮角化細胞壊死と周囲の炎症細胞浸潤であることが報告されている. 以上の結果,エビデンスは弱いが,即時消退紅斑性皮疹の有無や持続性の紅斑の皮膚生検はASDの診断感度,特異度を上昇させる可能性がある. 5本の観察研究(3本の症例対照研究1~3),2本の症例集積研究4~5))を対象にSRを実施した. 3本の症例対照研究1~3)において,ASD以外の発熱性疾患を対照とした場合に皮疹の有無が診断感度を上昇させる可能性が示唆された               . 3本の症例対照研究1~3)において,ASD以外の発熱性疾患を対照とした場合に皮疹の有無が診断特異度を上昇される可能性が示唆され,特に一過性,ASDに典型的な皮疹はASDに特異性が高い所見であることが示唆された . 皮疹の性状に関しては,症例対照研究では明示されていないが,2本の症例集積研究の結果からASDの経過中に一過性紅斑と同様に顔面,頸部,体幹,四肢伸側などに持続性紅斑が高頻度(64~78%)に認められ,病理学的には一過性紅斑が表在血管周囲の炎症細胞浸潤であるのに対して,持続性紅斑は角化上皮細胞の壊死巣と周囲の炎症細胞浸潤であることが報告されている4~5). 以上の結果,エビデンスは弱いが,皮疹の有無はASDの診断感度,特異度を上昇させる可能性がある.5-4推奨作成の経過Minds 5-45-4SRレポートのまとめMinds 4-10エビデンスの強さD(非常に弱い)D38ASDに特徴的な皮膚所見はあるかCQ 2Minds 5-3推奨提示(1)ASDでは,発熱と一致して出現する,サーモンピンク色で平坦な即時消退紅斑性皮疹と,出現消退をしない持続性の紅斑が特徴的な皮疹であり,皮疹の有無が診断感度を上昇させると提案する.(2)持続性の紅斑は,病理学的に表皮角化細胞壊死の特徴的な所見があるため,皮膚生検を行うことを提案する.推奨推奨の強さ(1)弱い:「実施する」ことを提案する(2)弱い:「実施する」ことを提案する5-4

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