2313成人スチル病診療ガイドライン2017年版
6/8

 本CQのアウトカムを成人スチル病(adult Still’s disease:ASD)の症状改善,病態の改善,再発抑制,感染症の増加,ステロイド性骨粗鬆症,高血圧,耐糖能異常,脂質異常,大腿骨頭壊死として,無治療/非ステロイド性抗炎症薬(non steroidal anti‒inflammatory drugs:NSAIDs)投与群と比較した副腎皮質ステロイド全身投与の有効性と安全性を検討するため,10本の症例集積研究を対象にSRが実施された. ASDに対する副腎皮質ステロイドの全身投与は無治療/NSAIDs投与群と比較して,臨床症状と病態の改善効果が示されたエビデンスの強さC(弱).再発抑制については効果がある傾向にあったがエビデンスの強さD(非常に弱い),疾患修飾性抗リウマチ薬(disease modifying anti‒rheumatic drugs:DMARDs)や生物学的製剤などと併用されている症例が多く,併用薬剤の影響について考慮されていなかった.また,慢性関節炎型のASDでは,副腎皮質ステロイド全身投与で全身症状や関節炎が改善しても,画像的関節破壊を抑制できないことがある. 感染症の増加,ステロイド性骨粗鬆症,大腿骨頭壊死など副腎皮質ステロイドの副作用についてはわずかに増える傾向がみられたが,多くの研究ではアウトカムとしての記載がないため全体としての把握は困難であったD. 以上の結果から,エビデンスは弱いが,副腎皮質ステロイドの全身投与は無治療/NSAIDs投与群と比較してASDの臨床症状と病態を改善する効果が高いと考えられた. 10本の症例集積研究を対象にSRを実施した1~10).ASDに対する副腎皮質ステロイドの全身投与は無治療/NSAIDs投与群と比較し,症状・病態の改善効果が示唆されたC1~10).1本の症例集積研究では,病態の改善について,無治療/NSAIDs投与群と比較しOR 0.32(95% CI:0.113‒0.923)で有効性がみられた1). 再発抑制については効果がある傾向にあったがD,DMARDsや生物学的製剤と併用されている症例が多く影響については考慮されていなかった. 感染症の増加,ステロイド性骨粗鬆症,大腿骨頭壊死など副腎皮質ステロイドの副作用については5-4推奨作成の経過Minds 5-45-4SRレポートのまとめMinds 4-1066CQ 15Minds 5-3推奨提示ASDの臨床症状および病態の改善を目的とした副腎皮質ステロイド全身投与を推奨する.推 奨推奨の強さ強い:「実施する」ことを推奨する副腎皮質ステロイド全身投与はASDに対して有用か5-4

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る