2316臨床遺伝学テキストノート
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140Ⅱ Advanced篇精子と受精し,受精卵となった場合には21番染色体が3本分(21トリソミー),21番染色体が1本分(21モノソミー),14番染色体が3本分(14トリソミー),14番染色体が1本分(14モノソミー),母と同じ均衡型Robertson型転座保因者,正常核型の6通りとなる(図2).しかし,このうち21モノソミー,14トリソミー,14モノソミーは流産に至る.均衡型Robertson型転座保因者,正常核型は原則的に通常どおり生まれるが,残りの21トリソミーの場合は流産になることも多いものの一部が転座型Down症候群として生まれる.均衡型Robertson型転座保因者の母から転座型Down症候群の子が生まれる確率は約10~15%といわれている.一方,父が均衡型Robertson型転座保因者の場合には1%未満とされる. 症例とは異なるがder(21;21)について簡単に解説する.Down症候群のうち約2%がこのRobertson型転座をもつといわれている.親がder(21;21)の保因者であることはまれといわれているものの,その場合には21トリソミーあるいは21モノソミー受精卵しかできないため,生児はすべて21トリソミーとなる.参考)片親性ダイソミーについて 14番染色体にはインプリント遺伝子という遺伝子群がある.インプリント遺伝子はその遺伝子が父由来か母由来かによって発現が異なる.確率は高くない(<0.5%)が,同じ細胞に同じ親由来の14番染色体と14番と21番が転座した派生染色体が同時に存在した場合には表現型異常が出る.出生前遺伝学的検査 出生前遺伝学的検査には染色体検査をはじめとした網羅的な検査と遺伝子検査などの特異的3         Robertson型転座(14;21)症例の染色体図1123456789101112131415161719202122X18

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