2318プライマリ・ケアのための新規抗てんかん薬マスターブック 改訂第2版
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TDM・薬物相互作用の注意点■最高血中濃度に達する時間は1~4時間,半減期20~30時間,定常状態に達するまでは4~6日である.小児の薬物動態は成人と同様で,定常状態における濃度は用量に比例して増加するが,小児ではクリアランスが高いため,消失半減期は短くなる.■治療効果判断において血中濃度測定は必須ではないが,参考となる血中濃度治療域は5~20μg/mLの範囲にある.■代謝に関与する主なチトクロームP450の分子種はCYP3A4である.CYP3A4を誘導するフェニトイン(PHT),カルバマゼピン(CBZ)の併用により,TPMの血中濃度は低下する.また,TPMはPHTの代謝を阻害することがあるのでPHTの血中濃度が上昇するが,CBZには影響しない.抗てんかん薬以外では,リスペリドン,ジゴキシン,ピオグリタゾンの作用を弱め,アミトリプチリン,メトホルミンなどの作用を増強させる.効能,効果など有効性のエビデンス■難治部分てんかんに対する,小児も含めたTPM併用治療でのメタアナリシスでは7),プラセボに対するオッズ比(95%CI)はRRでは2.97(2.38~3.72),SFRでは3.41(1.37~8.51)であり,表のとおり,部分発作のみならず,全般性強直間代発作,Lennox-Gastaut症候群にもTPMは有効である.■新規抗てんかん薬に関する米国のエビデンスガイドラインでは,TPMは成人部分てんかん(単剤・併用療法),特発性全般てんかん(強直間代発作),症候性全般てんかん,小児部分てんかんに対してエビデンスレベルAまたはBである8).■6~16歳の未治療てんかん患者(119名)を対象とした,CBZ,バルプロ酸(VPA),TPMの単剤表トピラマートの効果対象群RRSFRMSR文献部分発作(国内18歳以上)TPM20/61(32.8%)33.4松田一己,ほか:新薬と臨牀56:1385-1403,2007Placebo9/65(13.8%)二次性全般化強直間代発作TPM10/14(71.4%)73.3Placebo5/17(29.4%)部分発作(国内小児2~15歳)TPM22/59(37.3%)34.0大塚頌子:てんかん研究31:19-29,2013二次性全般化強直間代発作TPM38.7部分発作(小児)TPM16/41(39%)33.1EltermanRD,etal.:Neurology52:1338-1344,1999Placebo9/45(20%)10.5全般性強直間代発作TPM22/39(56.4%)5/39(12.8%)56.7BitonV,etal.:Neurology52:1330-1337,1999Placebo8/40(20%)2/40(5.0%)9.0Lennox-Gastaut症候群主要発作TPM15/46(33%)SachdeoRC,etal.:Neurology52:1882-1887,1999Placebo4/50(8%)脱力発作TPM14.8Placebo-5.1RR(%)(responderrate):発作頻度が50%以下に減少した症例の頻度,SFR(%)(seizurefreerate):発作が完全に抑制された症例の頻度,MSR(%)(medianseizurereductionrate):発作頻度減少率の中央値1.トピラマートの使い方:小児79

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