2319小児腎血管性高血圧診療ガイドライン2017
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Ⅱ 診断clinical question1臨床症状は小児腎血管性高血圧の診断に有用か❖❖小児腎血管性高血圧の臨床症状として特異的なものはないが,小児高血圧が年齢によって原因が大きく異なることや,StageⅡの重症高血圧を呈する場合が多いなどの所見は小児腎血管性高血圧の診断に有用である.推奨グレードB高血圧の診断小児の血圧測定を正確に行うことは困難な場合も多く,また二次性高血圧の多くは血圧が異常高値を示すことが多いことから1,a),JSH2014に示されている比較的高めに設定された小児高血圧の「判定基準」を用いるのがスクリーニングとしては簡便である(表3,p7参照)b).近年,環境に影響を受けやすい小児の血圧測定には,自由行動下24時間血圧測定(ambu-latory blood pressure monitoring:ABPM)が有用とする報告が増えており,二次性高血圧では拡張期高血圧や夜間の収縮期高血圧がABPMにて観察される場合が多い2,3).発症年齢小児高血圧は年齢が低いほど,何らかの器質的な異常を伴う二次性高血圧である可能性が高い.特に12歳未満では二次性高血圧の頻度が高く,さらに,10歳未満の小児高血圧では,腎実質性または腎血管性の腎性高血圧を疑い精査を進めることが推奨されている4,c).さらに最近,351人の高血圧小児を対象としたランダム化比較試験のデータから,6歳未満の小児において二次性高血圧の可能性が有意に高いことが報告されている5).症状,診察所見腎血管性高血圧を含む二次性高血圧の鑑別診断のために,問診,血液・尿検査,画像検査などが有用である.問診としては,出生歴(在胎週数,出生体重,臍動脈のカテーテル留置歴など),家族歴(高血圧,腎疾患,心疾患,糖尿病の有無など),既往歴(特に尿路感染症,その他腎疾患など)を聴取することが重要であり,二次性高血圧の原因として最も頻度の高い腎実質性高血圧の鑑別の手掛かりとなるc-e).また,睡眠の状況(いびき,無呼吸の有無や,日中の居眠りなど)や内服薬(ステロイド薬,calcineurin阻害薬等の免疫抑制薬,三環系抗うつ薬,鼻腔うっ血除去薬,避妊薬など)などの聴取も重要である.二次性高血圧やその合併症に伴う症状として,頭痛,けいれん,めまい,視野の異常,鼻出血,顔面神経麻痺,胸痛,片麻痺,成長障害,動悸,流汗,紅潮,多尿,間欠跛行,無月ステートメント解説12312

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