2323脳血管内治療の進歩-ブラッシュアップセミナー2017
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II アクセスのすべて―脳血管内治療成功の鍵75ている施設が従来長く活動していた施設(またはトレーニングを受けた施設)と異なる回答者の場合には,元の地域の所属とみなすこととした.また,同一施設の複数回答は,同じ方針であることが明らかであるため,重み付けがされないように1票として計算した.このような補正により,各地域の人数にはかなり差がでるため,百分率ではなく実数の表示とした.多項選択回答の質問において,複数の選択肢が回答された場合には,「そのほか」に分類した.図(グラフ)については,紙面の都合もあり,ある程度まとめたうえ間引いて,興味深いものや意見が割れているものだけを掲載し,ほかは傾向をまとめて解説した.結果3血管撮影手技に関する質問a1) 診断血管撮影のルート 全体として経大腿的に行われているが,中部は経上腕アプローチが主流で,関東では経橈骨動脈が比較的多く行われている傾向であった.2) 診断脳血管撮影で用いるカテーテル 経大腿アプローチでは,どこもJB2 typeが主流であるが,中部のみHKタイプが多かった.一方,経腕アプローチではほとんどSimmonds typeであるが,中部はITO-1などいろいろなバリエーションがあった.III型大動脈弓のアクセス困難例では,ほとんどがSimmonds type を用い,カテーテルをあげるのに約7割でHalf-stiff guide wireが用いられていた(図1).3) 脊髄血管撮影で用いるカテーテル 形状からCobra,HS typeと,Simmondsを逆にしたようなhook型のMichaelson, Shep-herd-hook typeに分かれるが,全体として二分されているものの,中部は前者,関東では後者が主に使われていた(図2).4) 診断血管撮影の方法 インジェクターを用いて行う場合が全体にやや多く,関東では大勢であるが,関西では3D撮影以外は用手的注入が多かった.5) 用手的注入時のシリンジの持ち方 人差し指と中指でシリンジを把持して親指で押し子を押すか,母指球で押すかは,九州以外はほぼ二分され,あまり地域差はなかった(図3).6) 診断血管撮影時のヘパリン化 地域によりかなり差があり,関西では多くは造影剤にはヘパリンを入れているが,中部や九州では全身ヘパリン化もしない傾向であった.全身ヘパリン化をする場合にはヘパリンを2,000~3,000単位静注,造影剤に入れる場合には100mLに1,000単位入れている施設が多かった(図4).血管内治療ガイディングシステムに関する質問b1) イリゲーションライン 通常点滴ラインか動脈圧ライン(またはその類似品)を用いていると思われるが,関西では動脈圧ラインが主流で,中部では点滴ラインが多かった(図5).2)  イリゲーション用生食,造影剤内のヘパリン化 イリゲーションライン内のみがやや多いが,関東の半数,および関西の大部分では造影剤にも加えていた(図6).またヘパリンの量は,生食500mLあたり5,000単位が主流であった(図7).3)  コアキシャルカテーテル間のイリゲーション コアキシャルカテーテル(6Fr+4Frなど)をあげるとき,イリゲーションラインは約7

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