2332いま知っておきたい食物アレルギーケースファイル30
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81食物アレルギーに対する厳格な除去食を利用した代理ミュンヒハウゼン症候群の1例を経験した.学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)を主治医が記載することにより適切な食事指導が可能となり,本症例のような誤った除去食を阻止できる.著明な体重減少(−2.3SD),成長障害がある場合,学校は直ちに学校医あるいは主治医などの医療機関に相談する.教師に日常の研修会,勉強会を通して,成長曲線の正常と異常の基礎知識を知ってもらう必要がある.9歳 男児●母が食物アレルギーを利用して虐待した症例(代理ミュンヒハウゼン症候群)家族歴:特になし.主 訴:体重減少(−2.3SD).現病歴:母(元看護師)の訴えでは,3か月前に蕁麻疹で受診した個人病院で厳しい食事制限(米以外の摂食禁止)の指導があり,その後摂食障害が出現したとのことで,総合病院を紹介され受診した.総合病院より,除去食による体重減少をきたした重症の食物アレルギーの診断で当大学病院アレルギー専門医に紹介される.受診時の体重は16kg(−2.3SD)で,支えがないと立ち上がれない状態であった.既往歴:特になし.基礎疾患:気管支喘息,蕁麻疹.検査所見:食物抗原に対する特異的IgE抗体検査はすべて陰性.受診までの経過:3か月前から個人病院で非常に厳しい食事制限の指導があり,その後摂食障害が出現し総合病院を紹介.除去食による体重減少をきたした重症の食物アレルギーの診断で,当院アレルギー専門医に紹介された(図).clickCASE 21吉原重美 獨協医科大学医学部小児科学CASE母が食物アレルギーを利用した代理ミュンヒハウゼン症候群例Ⅳ21治療に工夫を要した症例・難渋した症例

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