2335はじめて学ぶ小児血液・腫瘍疾患
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●クレアチニン,LDH,総ビリルビン,直接ビリルビン.●便潜血,検尿:出血の有無.●Menzer指標:MCV/赤血球数(×106)<13であれば,著しい小球性でありサラセミアを疑う.例)MCV62fL,赤血球数600万/μLでは,MCV=62/600万×106=10.3である.●ハプトグロビン,Coombs試験:溶血を疑うとき.●葉酸,ビタミンB12:MCV>110fLの大球性貧血のとき.3)赤血球増加症の鑑別①真性:白血球数・血小板数増加,脾腫.②二次性:エリスロポエチン増加,低酸素.③相対的:脱水症,喫煙,飲酒.●(絶対的)赤血球増加症は,循環赤血球量が実際に増加しているものをいう.真性と二次性に大別される.相対的赤血球増加症とは循環血漿量が低下し,単位容積あたりの赤血球量が増加しているものをいう.●白血球数と血小板数の増加や脾腫があれば真性を疑う.●二次性はエリスロポエチン産生が増加する病態であり,低酸素をきたすような先天性心疾患が代表的である.3.白血球の異常をどうみるか1)血算で白血球異常をみるコツ(→Memo 2参照)①白血球数.②白血球分画:好中球,好酸球,リンパ球.③塗抹標本:異型リンパ球,芽球.④LDH,尿酸:細胞が壊れているか? ⑤クレアチニン:腎機能.●白血球や好中球の異常についてはⅡ—1「白血球数・分画に異常がある」を参照.白血球数の基準範囲はⅡ—1の表1を参照.●白血球や好中球の異常値をみたら,Hb,網赤血球数,血小板数の異常がないか必ずみる. Hbで判定して貧血があれば,MCVと網赤血球で原因の見当をつける.鉄欠乏性貧血は,血清フェリチン低値(≦12 ng/mL)で確定診断する.血清鉄が低値であるだけで鉄剤は使わない.鉄剤の効果が薄く,MCVが極端に小さいときはサラセミアを疑う.高度の貧血があっても,心不全などの重篤な合併症がなければ,緊急輸血はしなくてもよい.Essence152ヘモグロビン(Hb)と平均赤血球容積(MCV)の基準範囲年齢(月齢)Hb(g/dL)MCV(fL)<1か月15.0~24.099~1151~23か月10.5~14.072~882~9歳11.5~14.576~9010~17歳 男12.5~16.178~9510~17歳 女12.0~15.078~95(貧血の定義はⅡ—3—1「貧血とは?」を,白血球についてはⅡ—1「白血球数・分画に異常がある」の表1を参照)表3

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