2343わかりやすい予防接種 改訂第6版
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616 スケジュールからはずれたときの接種法 これは先にあげた可能性のなかでは①の方法にあたります.この原則はアメリカの予防接種に関する標準的解説書である“Red Book”にも記載されています24). 不活化ワクチンは間隔をあけて何回も重ねて接種していくことで,免疫を効率よく高めて長期間持続できるようにできます(p.35参照).免疫の記憶というものは簡単に失われるものではなく,時間が経っても通常は必ず残っているものと考えて差し支えありません.以前接種したワクチンの免疫の記憶も,次の接種が遅れた場合でも通常残っています.遅れに気づいたときに遅れた分の接種を行えば,その時点で通常の接種と同様の免疫効果が得られます. 追加の接種が遅れた場合に問題となるのは,本来の接種時期から遅れに気がついて接種を再開したときまでの間で,この間は本来期待できるワクチンの効果が得られない状態が続いています.しかし接種を再開した段階で,期待できるワクチン本来の効果が得られるようになったとみなしてかまいません. DPT-IPV1期 DPT-IPV1期は計4回の接種があります.このうち最初の3回(初回)は3(4)週以上(標準的には8週まで)の間隔で行い,最後の1回(追加)は6か月以上(標準的には1年)の間隔をあけて接種することになっています25)(図16).定期の予防接種のなかでも接種回数が多く,保護者がうっかりしていたりして接種間隔があきすぎてしまうことが最も起こりがちな予防接種の1つです.また接種回数が多B図16 DPT-IPV 1期:規定通りの接種法3(4)週以上3(4)週以上6か月(1年)以上初回(1回目)初回(2回目)初回(3回目)追加

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