2348マクギーのフィジカル診断学 原著第4版
2/14

Part 2 エビデンスを理解する16Using the Tables in This Book身体所見の診断精度に関して,本書では2種類の表で示している.(1)“身体所見の頻度”の表:身体所見の感度のみ示した.(2)“診断精度”の表(EBM BOX):身体所見の感度,特異度,LRを示した.A.定 義“身体所見の頻度”の表は,ある診断を有する患者についての複数の研究をまとめ,その疾患に関連した身体所見の感度を示した.そのために所見の特異度についての情報はない.表 3.1は一例であり,病的に硬くなった心膜が,心臓の拡張を妨げる疾患である収縮性心外膜炎についての身体所見の頻度を記載している.はじめにⅠ“身体所見の頻度”の表Ⅱ3ChapterB.表の各部分について1.所 見1列目には様々な身体所見が臓器別で記載してあり,頻度の高い順から低い順に並べている.2.頻 度2列目には身体所見の感度(もしくは頻度)が記載されている.もし個々の研究の感度が統計的に同等であれば,すべての頻度の平均を表示している(表3.1において,収縮性心外膜炎の患者の70%に浮腫がある).もし個々の研究が統計的に異なれば(p < 0.05,カイ二乗検定による),値の範囲を表示している(表3.1において,28~94%の患者に心膜ノック音[心尖部で拡張早期に聴取される大きな過剰心音]が聴取される).3.脚 注表の脚注には参考文献と診断基準を示した.例としたあげた表3.1は,収縮性心外膜炎であると外科的所見,剖検,もしくは血行動態から診断された282名の患者を含む10の研究に基づいている.本書の表の利用法◦身体所見の頻度の表は各所見の感度のみが示されており,診断が確定された多数の患者を含む研究から算出されている.この表では,感度が高い所見のみが臨床的に有意である.有症状の患者でそのような重要所見がない場合には,その疾患である確率は低くなる.◦EBM BOXでは,臨床医はどの身体所見が,ある診断に対して最も正確であるか迅速に知ることができ,同様の症状で最終診断が異なる患者についての大規模研究から算出されている.最も尤度比(LR)が大きい身体所見が疾患の確率を最も上昇させ(すなわち,LRは診断の重みづけとして有用である),最もLRが0に近い所見は疾患の確率を低下させる.本章で学ぶポイント

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る