2348マクギーのフィジカル診断学 原著第4版
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Chapter 14 Cushing症候群753Part患者の外観Cushing Syndrome◦Cushing症候群の原因として外因性であるグルココルチコイド投与が最多である.内因性ではCushing病(下垂体ACTH産生腫瘍),異所性ACTH症候群,副腎腫瘍がある.◦Cushing症候群が疑われている患者で,次の所見はCushing症候群の可能性を高める.薄い皮膚,出血斑,中心性肥満,骨粗鬆症.◦Cushing症候群が疑われている患者で,次の所見はCushing症候群の可能性を低くする.全身性肥満,正常の厚さの皮膚,満月様顔貌なし.◦ACTH依存性Cushing症候群の患者で,著明な体重減少,もしくは急性発症の症状があれば異所性ACTH症候群の可能性を高める.◦偽性Cushing症候群とは,慢性アルコール依存症,もしくはHIV感染症の抗ウイルス薬内服中の患者のようにCushing症候群様の症状を呈する状態である.Cushing症候群とは血中グルココルチコイド過剰による徴候のことであり,高血圧,中心性肥満,筋力低下,多毛(女性の場合),抑うつ,皮膚線条,皮下出血などが含まれる.原因として外因性であるグルココルチコイド投与が最多である1.内因性では副腎皮質刺激ホルモンを産生する下垂体腫瘍(ACTH;すなわち,Cushing病であり,内因性の70%を占める),異所性ACTH症候群(肺小細胞癌,肺や縦隔のカルチノイド腫瘍などであり,内因性の10%を占める),副腎腺腫(内因性の10%を占める),副腎癌(内因性の5%を占める)が原因となる1.Cushing病や異所性ACTH症候群は異常なACTH濃度上昇を伴ってコルチゾール濃度が上昇するため,ACTH依存性疾患とよばれる.副腎腫瘍の存在はACTH非依存性疾患を示唆する.Harvey Cushing2は1932年にCushing症候群はじめにⅠ14Chapterの身体所見について初めて報告した.1949年に関節リウマチの治療に初めてコルチコステロイドが使用された.そしてそれから2年以内に,外因性Cushing症候群に関する明確な報告が行われている3.表14.1は1,000例以上のCushing症候群の身体所見を表わしている.A.顔貌・体型Cushing症候群の患者は,四肢の筋萎縮をきたし,対照的に頸部や胸腹部には脂肪が蓄積されるため,中心性肥満(体幹型肥満)となる.中心性肥満の定義には次の3つがある.(1)四肢を除く肥満(主観的な定義だが最もよく使用される)4,12.(2)中心性肥満指数:体幹の部位3つ(頸部,胸部,腹部)の周径の合計を,四肢の部位6つ(両側の所見とその発生機序ⅡCushing症候群本章で学ぶポイント

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