2362褐色細胞腫・パラガングリオーマ診療ガイドライン2018
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xviii7)推奨度の付与 診療行為(検査や治療に関する推奨)には推奨度を付与した.推奨度は「Minds診療ガイドライン作成マニュアル2007」に準拠し,原則としてエビデンスレベルに基づき決定したが,その他,下記の要素を考慮して総合的に決定した(表3).1.エビデンスレベル2.エビデンスの数と結論のばらつき:同じ結論のエビデンスが多ければ多いほど,結論のばらつきが小さければ小さいほど,推奨は強いものとなる3.臨床的有効性の大きさ4.臨床上の適用性:医師の能力,地域性,医療資源,保険制度5.有害事象やコストに関するエビデンス総合判定は作成委員内の議論を経てコンセンサスを形成(次項参照)した.  しかしながら,前述のごとく本ガイドライン作成過程で「Minds診療ガイドライン作成マニュアル2014」が発表され,診療行為の推奨の強さ(推奨度)の分類・表示法が変更となったことから,それを参考とすることとし,表4に示したルールに基づいて推奨度を2段階にて表示することとした.【記入例】4 画像診断A 画像診断の役割 PPGLの画像診断法としてはCT,MRI,123I-meta-iodobenzylguanidine(MIBG)シンチグラフィや18F-FDG-PETなどの核医学検査がある(表1)(褐色細胞腫・パラガングリオーマ診療アルゴリズム,p.x参照).腹部超音波検査により偶発腫瘍として発見されることがあるが,PPGLの質的診断としては通常施行しない.血液,尿検査でPPGLが疑われた場合は,腫瘍の存在,発生部位,広がり,転移の有無を明らかにするために画像診断を実施する. 画像検査は,①両側性,多発性,転移性病変の診断,②手術適応や術式決定のための原発巣と周囲臓器や血管との関係の詳細な評価,③術後経過観察時の再発や転移の診断,などに重要である. 画像診断による良悪性の鑑別は困難で,転移巣がある場合に悪性と診断される.悪性の場合には,原発巣の周囲臓器への浸潤や血管との関係を正しく評価して手術適応を判断するとともに,転移巣を明らかにして治療方針を決定する. PPGLにおける画像診断の精度は病変の部位や性状により異なり,前述した検査種や検査法によっても異なるが,画像診断が治療方針決定に果たす役割は明らかであり,実際に病変検出の感度,特異度とも高いことが明らかにされている28-30).検査の実施にあたっては,施設へのアクセスやコスト,禁忌などを考慮する.各検査の特徴と有用性を以下に詳述する.B CT》 Evidence● 臨床的に褐色細胞腫・パラガングリオーマが疑われる場合は治療方針決定のために腫瘍の局在,広がり,転移の有無に関する画像診断を行う1A.● CTの空間分解能は高いが疾患特異性は低い.褐色細胞腫・パラガングリオーマ,転移性病変(特に肺,肝)の診断に有用である1B.● MRIのコントラスト分解能は高いが疾患特異性は低い.副腎皮質腫瘍との鑑別診断,PGL(特に頭頸部病変),転移性病変の診断に有用である1B.● 123I-MIBGシンチグラフィは疾患特異性が高く,褐色細胞腫・パラガングリオーマの診断に有用であるが1A,偽陰性に注意する.転移巣の診断にも有用であるが診断感度は劣る.甲状腺被曝を最小限とし,頸部病変の診断精度の低下を避けるため甲状腺ブロックが推奨される2C.● 18F-FDG-PETは褐色細胞腫・パラガングリオーマの転移巣検索に有用である2C.》 ステートメント《4画像診断上記例の「1A」の「1」は,Minds 2014における推奨度(表4)を表し,「A」はエビデンスの強さ(表2)を表している.表3 エビデンスレベルと推奨度推奨度内 容エビデンスレベルに基づく判定基準A強い科学的根拠があり,行うよう強く推奨する少なくとも1個以上のエビデンスレベルⅠの研究があるB科学的根拠があり,行うよう推奨する少なくとも1個以上のエビデンスレベルⅡの研究があるC1科学的根拠は不十分だが,行うように推奨するエビデンスレベルⅢ,Ⅳ,Ⅴ,Ⅵの研究によるC2科学的根拠は不十分だが,行わないように推奨するD科学的根拠があり,行わないように推奨する少なくとも1個以上のエビデンスレベルⅠ,Ⅱの研究がある表4 推奨度(Minds2014とMinds2007の比較対応)Minds2014における推奨度解 説Minds 2007に基づく推奨度推奨の強さ「1」「実施する」,または,「実施しない」ことを推奨するA/B/D推奨の強さ「2」「実施する」,または,「実施しない」ことを提案するC1/C2(本ガイドライン作成委員会による).

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