2363看護ケアに活かす 感染対策ガイド 改訂第2版
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27A. 手指衛生第3章感染予防のための基本テクニック手指衛生の基本 1.手指衛生とは 手指衛生は最も有効で重要な医療関連感染予防策です.手指衛生には流水と石鹸または抗菌石鹸による手洗い(スクラブ法)と,速乾性の擦式アルコール製剤による手指消毒(ラビング法)があります.手に目に見える汚れがない場合は擦式アルコール製剤による手指消毒のほうが流水と石鹸または抗菌石鹸による手洗いより微生物殺菌活性に優れ(図1),どこでも簡単に使用でき,含有される保湿剤により皮膚の乾燥を防ぎます.2.手指衛生のタイミング 世界保健機関(World Health Organization:WHO)は「医療における手指衛生のWHOガイドライン」の中で“手指衛生のための5つのタイミング(My five moments for hand hygiene)”(図2)1)を推奨しています. 手指衛生は手指を介して病原体を患者に伝播したり環境を汚染することを防ぎ,医療者自身を病原体から守るために行います.適切なタイミングと方法で手指衛生を実施することが大切です.そのためには擦式アルコール製剤が第一選択となります.しかし,目に見える汚れがある場合や芽胞を形成する細菌(クロストリジウム・ディフィシルやバシラス属など)やエンベロープをもたないウイルス(ノロウイルスなど)に接触した恐れのあるときは流水と石鹸による手洗いが必要となります.物理的に汚れを取り除くために丁寧に手洗いをすることが大切であり,その手順を遵守する必要があります.手指衛生 適切なタイミングで実施する. 場面に合わせた適切な方法を選択し手順を守って実施する. 手指衛生遵守のためにハンドケアを怠らない.POINTA.手指消毒前擦式アルコール製剤手指消毒後図1 擦式アルコール製剤による消毒効果

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