2363看護ケアに活かす 感染対策ガイド 改訂第2版
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128麻疹 原因:麻疹ウイルス. 臨床症状(図1):潜伏期間は8~12日,カタル期,発疹期,回復期の3病期に分かれます.カタル期は風邪症状や結膜発赤,後半にコップリック斑を頬粘膜に認めます.熱はカタル期と発疹期で2峰性発熱となります.発疹は赤みの強い丘状紅斑が顔から体幹部へ癒合傾向を示しながら拡大し,回復期に色素沈着します.合併症は脳炎,肺炎,気管支炎,中耳炎などで,死亡率は0.1~0.2%に認めます1).わが国は世界保健機関(World Health Organization:WHO)から2015年に麻疹を排除したと認定されました.過去は小児の患者がほとんどでしたが,2018年麻疹と診断された人は約70%が成人で,もはや小児の感染症ではなくなっています.その多くは1回ワクチン接種をしたことのある人で,軽症で非典型的な修飾麻疹です. 診断・鑑別診断:修飾麻疹は風疹によく似た発疹なので,風疹との鑑別が必要です.最寄りの保健所に相談して,血液,尿,咽頭拭い液からPCR法や培養検査による診断を行い,1例目から感染拡大に向けた対応することが重要です. 感染防止対策のポイント:空気感染するので,陰圧個室が必要です.疑いの患者はできるだけ陰圧個室,なければ個室に隔離します.患者との接触後,未感染で未接種者では緊急接種も考慮します.風疹 原因:風疹ウイルス. 臨床症状(図2):潜伏期間は16~18日,発熱と発疹,頸部や耳介後部のリンパ節腫脹を認めます.発疹は麻疹に比較して赤みは薄く,癒合傾向は認めにくいです.思春期以降,多くの女性では小関節の関節痛を認めます.合併症は,血小板減少性紫斑病や脳炎などが知られていますが,麻疹のように死亡する人はいません.しかし,妊娠初期の妊婦が感染すると高率に先天性風疹症候群を認めます(→NOTE). 診断・鑑別診断:修飾麻疹は風疹によく似た発疹なので,修飾麻疹との鑑別が必要です.最寄りの保健所に相談して,血液,尿,咽頭拭い液からPCR法や培養検査による診断を行い,1例目から感染拡大に向けた対応をすることが重要です. 感染防止対策のポイント:飛沫感染なので,陰圧個室は必要ありません.先天性風疹症候群の児は,数年にわたりウイルスを排泄することがあるので,まず隔離してPCRで陰性確認後に隔離解麻疹,風疹,水痘,流行性耳下腺炎,伝染性紅斑 麻疹と水痘は空気感染なので,陰圧隔離が必要. 麻疹と水痘は緊急接種も考慮できる. 免疫抑制児の水痘は重症化. ムンプスは任意接種なので,定期的に流行する. 伝染性紅斑の合併症に注意.POINTL.

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