2363看護ケアに活かす 感染対策ガイド 改訂第2版
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129L. 麻疹,風疹,水痘,流行性耳下腺炎,伝染性紅斑第5章ナースの疾患別看護のポイント除します2).水痘 原因:水痘帯状疱疹ウイルス. 臨床症状(図3):潜伏期は14~16日,紅斑,水疱,痂疲を混在して形成します.発熱は水疱の数と比例します.水痘は初感染で,治癒後も神経節でウイルスが潜伏感染し,細胞性免疫低下時に再活性化して帯状疱疹を発症させます.わが国では水痘ワクチンが2014年から定期接種となり,発症数は約1/10に減少しました.免疫抑制児が感染すると,重症化や死亡することもあるので,小児科病棟の院内感染対策で重要な感染症です3). 診断・鑑別診断:2011年より手足口病で水痘との鑑別困難な例が散見されるようになっています. 感染防止対策のポイント:空気感染するので,陰圧個室が必要です.疑いの患者は,できるだけ陰圧個室,なければ個室に隔離します.帯状疱疹からも水痘が感染するので,免疫抑制患者のいる小児科病棟では陰圧隔離が必要です.患者との接触後,未感染で未接種者では緊急接種も考慮します(→NOTE).流行性耳下腺炎(おたふくかぜ) 原因:ムンプスウイルス. 臨床症状(図4):潜伏期間は16~18日,唾液腺(耳下腺,顎下腺,舌下腺)が腫脹します.合併症は無菌性髄膜炎,ムンプス難聴,睾丸炎,膵炎などが知られています.年齢が高くなるほうが,合併症率が高くなる傾向があります.先進国の中で,わが国だけが定期接種でなく任意接種(有料)であるため,接種率が30~40%と低く,4~6年おきに流行を繰り返しています4). 診断・鑑別診断:ムンプス以外にも,耳下腺が腫脹する耳下腺炎があります.繰り返すことが多いので,反復性耳下腺炎ともよばれています.そのため確定診断のない既往歴は正確ではありません. 感染防止対策のポイント:飛沫感染します.ワクチンは2回接種が必要です.伝染性紅斑(リンゴ病) 原因:パルボウイルスB19. 臨床症状(図5):潜伏期間は4~14日,熱などの症状もなく頬に紅斑,また大腿や上腕など四肢近位端にも大理石文様ができます.重要なことは,感染力は発疹出現の約1週間前にあって,発疹発現時には感染力がないことです.ワクチンもないので,予防が困難です.特に,遺伝性球状赤血球症では輸血が必要になるくらいの急激な貧血(aplastic crisis)を起こします.また妊婦では胎児水図1 麻疹(カラー口絵参照)図2 風疹(カラー口絵参照)図3 水痘と帯状疱疹(カラー口絵参照)水痘帯状疱疹

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