2370緩和ケア評価ツールSTAS 改訂第2版
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うに病状を認識しているのかは不明です。“がんは治らなくても5~6年は,このまま大丈夫じゃないかな”と患者の認識がわかる記載がコメント欄にあると,その後の患者の認識の変化を評価できます。コメント欄に“今年の暮れまで,もつかな”という記載がされるようになると,STAS5(患者の病状認識)のスコアを<2>に下げた根拠として理解できます。 スコアリングの根拠をコメントとして記載することで,情報が共有され,多職種が関わることによって焦点が散漫になることを防ぎ,合理的・建設的な連携ができます。* スコア<3> 非現実的に思っている。例えば,予後が3か月しかない時に,一年後には普通の生活や仕事に復帰できると期待している。(解説:病状の認識が非現実的である。社会復帰できる位までの回復が可能だと考えている。)2 スコアリングの根拠は,患者が語った言葉(ナラティブ)に基づく STASのスコアリングでは根拠を明確にすることが重要であると前述しましたが,根拠の基本は患者が語った言葉(ナラティブ)に基づくものが中心となります。 どのようなツールを使う場合にも共通理解として大切なことは,緩和ケアはNBM(Narrative Based Medicine)であるということです。患者の話を受け止めて緩和ケアに活かすためには,コミュニケーションスキルの向上が欠かせません。コミュニケーションスキルで一番重要なことは,聞き手の肯定的なリアクションです。患者が“聞き手に伝わった”と感じることで,患者の“語り”は続きます。 患者とのコミュニケーションの中で,患者が語った言葉(ナラティブ)をスコアリングの根拠としてコメント欄に記載することを徹底することで,スコアリングするスタッフの感覚的・主観的な評価を防ぐことができます。聞き手が患者の言葉を要約することなく,専門用語に置き換えることなく,そのまま記録することを心がけましょう。食べると,痛くなる感じがします「食べると痛くなる感じ」があるのは,どの辺りですか?肝臓のがんがあるのは,この辺りですか?食べると痛くなる感じがするのは,破裂しそうなのかな「破裂しそうなのかな」と思いながら食べているのですか?もう少し食べようとしても,破裂したらと思うと怖いよね怖いですけどそう簡単に破裂はしませんじゃあ,痛みがなければ食べてもいいですか?痛くても食べられるのであれば問題ありません患者Ns患者Ns患者Ns患者Ns584章 STASの実践と活用

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