2379消化器外科SSI予防のための周術期管理ガイドライン2018
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013CQ 1-2SSIの定義、頻度、リスク因子第 1章囊摘出術,食道手術,ヘルニア手術,脾臓手術,小腸手術,胃手術の10の術式のデータが集計されている.これらの10術式では2007年より2016年までに854,014例が集計され,SSI発生率は9.6%で,全体平均(約6%)と比較して高頻度で,SSI発生例の88%を占め,消化器外科手術がSSI発生例の多くを占めることが明らかとなった. この10術式の各SSI発生率についてみると,食道手術の発生率が19%と最も高く,次いで直腸手術,肝胆膵手術での発生率が高い(図1-3).ただし,同じ術式に区分けされていても,たとえば肝胆膵手術のなかでも術式によってSSI発生率に大きな差が認められていることに留意する必要がある.消化器外科手術10術式の年次推移についてみると,漸減傾向であり,2016年のSSI発生率は8.7%にまで減少している.特に,食道,結腸,および直腸手術で減少傾向が顕著である(図1-4).米国におけるSSI 米国疾病予防管理センター(CDC)の集計によると,年間2,417,933件中,20,196件のSSI発生がみられている3).2006~2008年までに実施された医療関連感染のサーベイランスによると157,000件のSSI部位が発生しており,医療関連感染の第二位となっている4).また,2008~2014年までの主要10術式では17%の減少がみられ,特に結腸手術での減少が著しいと報告されている3).一方,NHSN(National Healthcare Safety Network)より発表された報告によると,2006~2008年までに実施された849,659件の手術のうち16,147件のSSIが発生し,発生率は1.9%と報告されている5).さらに,2009~2011年までのサーベイランスデータ6)では,胆道手術で9.1%,結腸手術で19.2%,ヘルニア手術で4.9%とされ,2011年の症例のみでは7),結腸手術は約2.4%,直腸手術は約2.1%のSSI発生率であった.このように,同じ機関からの報告でも発生率に相違がある点にも留意されたい.EU諸国におけるSSI 欧州疾病予防管理センター(ECDC)より2010~2011年までのSSIサーベイランスの報告図1-3 消化器外科手術におけるSSI発生率APP:虫垂切除術,BILI:胆道再建を伴わない肝切除術,膵頭十二指腸切除術,その他の肝胆膵手術,CHOL:胆囊手術,COLO:結腸手術,ESOP:食道手術,GAST:胃手術,HER:ヘルニア手術,REC:直腸手術,SB:小腸手術,SPLE:脾臓手術.(文献1より)手術手技SSI発生率(%)APPBILICHOLCOLNESOPGASTHERRECSBSPLE181614121086420

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