2385小児救急治療ガイドライン 改訂第4版
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A中枢神経系疾患4.無熱性けいれん1653クロニーてんかんなどが有名である2).比較的頻度の高い局在関連てんかんも,この時期に発症することが多い.てんかん以外では失神(特に不整脈を伴う),神経調節性障害などがある.特にこの年齢から増えるのは心因性非てんかん発作(psychogenicnon-epilepticseizures:PNES)3)であり,実際のてんかん発作との鑑別はむずかしく最終的には発作中のビデオ脳波が有用である.Point欠神てんかんは女児に多く,突然始まり突然終わる,10秒前後の意識障害が特徴であるが,全般性強直間代性けいれんを併発する場合もある.バルプロ酸やエトスクシミドが奏効する.中心・側頭部に棘波をもつ良性小児てんかん(benignchildhoodepilepsywithcentrotemporalspikes:BECT)は,小児てんかんのなかで最も頻度が高いてんかんである.半数以上が睡眠中,とくに寝入り端に多く,口角や眼瞼のピクツキや変な喉頭音で気づかれることが多く,発作は全般化し流涎も特徴的である.脳波上多くはRolando領域に棘徐波を認める.通常,カルバマゼピンが第一選択薬として選ばれる場合が多い.心因性非てんかん性発作は,初診の場合には5~20%,難治性てんかんと診断されているなかの15~30%を占めているといわれている.状況依存があり持続時間が長い,毎回異なる動作をする,閉眼している,左右上下肢で異なる動きをする,発作の途中で泣くなどで疑うことが大切である.治療aまず鎮痙救急受診時にけいれんが持続していた場合,原因の如何にかかわらず,まずけいれんを止める.気道,呼吸,循環は最優先であり,バイタルをチェックし,気道確保,酸素投与,各種モニター装着と同時に静脈ルートを確保する.ルート確保ができない場合も,あせらずミダゾラムの筋注,口腔,鼻腔投与を行う(けいれん重積の治療についてはp.69,II章Eけいれん重積参照).Pointルート確保の際,簡易血糖測定器で血糖をチェックし,低血糖があれば直ちにブ図2けいれん発作(幼児期~小児期)部分発作嘔吐・下痢(軽症)→短時間発作が群発→軽症下痢に伴うけいれん睡眠中→嘔吐から始まる→Panayiotopoulos症候群〃→口部症状・吃逆・顔面ピクツキ→中心・側頭部に棘波をもつ良性小児てんかん全身けいれん発熱あり→短時間(ほぼ5分以内)→単純型熱性けいれん〃→長時間・群発・片麻痺→複雑型熱性けいれん〃→風呂上がり・炎天下・重積→Dravet症候群激しい啼泣→蒼白型・チアノーゼ型→泣き入りひきつけ欠神発作→数秒の意識消失・1日に頻回→若年欠神てんかんミオクロニー発作→朝に物をよく落とす→若年ミオクロニーてんかん全般性強直間代性発作→覚醒時に大発作→覚醒時大発作を伴うてんかん心理・精神的背景→長時間・毎回発作が異なる→心因性非てんかん性発作

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