2397小児特発性ネフローゼ症候群診療ガイドライン2020
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271 治療総論小児特発性ネフローゼ症候群はその多くが微小変化型である.そのため,初発・再発時ともにステロイド(プレドニゾロン)を第一選択薬として治療を開始する.小児頻回再発型ネフローゼ症候群や小児ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群では免疫抑制薬による治療が検討される.各薬剤の処方にあたっては,身長に応じた標準体重ならびに体表面積を用いる. 小児ネフローゼ症候群の原疾患の約90%が特発性ネフローゼ症候群(一次性ネフローゼ症候群)であり,そのうちの約80%が微小変化型であるa,b).微小変化型の90%以上はステロイド(プレドニゾロン)に反応するステロイド感受性ネフローゼ症候群であるため,他の病型が疑われる場合以外(p. 7 「3 腎生検」参照)は腎生検を行わずに,プレドニゾロンによる治療を開始することが一般的(p. 35 「2 各論」『A.ステロイド感受性ネフローゼ症候群の治療』,『CQ1』参照)であるb,c,d).この初期ステロイド治療反応性による分類(ステロイド感受性,ステロイド抵抗性)と病理組織学的分類は必ずしも一致せず,それぞれが独立した分類方法である.また,このステロイド治療による反応性ならびに再発頻度により治療戦略が決まる. 頻回再発型およびステロイド依存性ネフローゼ症候群となった場合にはステロイドの長期反復使用による副作用を軽減する目的でb,c,e),免疫抑制薬の併用が検討される(p. 39 「2 各論」『B.頻回再発型・ステロイド依存性ネフローゼ症候群の治療』,『CQ2』参照).わが国で適応の得られている薬剤としてはシクロホスファミドとシクロスポリンがあり,適応外使用で効果の報告のある薬剤としてタクロリムス,ミコフェノール酸モフェチルなどが存在する.また,前回のガイドライン2013以降の新たなエビデンスとして,既存の免疫抑制薬使用では管理困難な小児期発症難治性頻回再発型およびステロイド依存性ネフローゼ症候群に対して生物学的製剤である抗CD20抗体製剤(リツキシマブ)が使用可能となっている(p. 49 「2 各論」『C.難治性頻回再発型・ステロイド依存性ネフローゼ症候群の治療』,『CQ3』参照).従来の免疫抑制薬とは異なる副作用を有する薬剤であり,精通した医師による使用が望まれる. ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群となった場合には,治療方針の決定のために腎生検が 要 約 小児特発性ネフローゼ症候群治療の概略(p. 26) 1治療総論1

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