2408臨床小児麻酔ハンドブック改訂第4版
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40•2.気管挿管法 小児,特に新生児・乳児における気管挿管(以下,挿管)について解説する.1気管チューブの選択1, 2)●1 カフ付きかカフなしか1)およそ8歳未満の小児に対して,カフ付きチューブ,カフなしチューブのいずれも用いられている.それぞれの利点欠点を踏まえて選択する(表1)が,カフ付きチューブはカフ圧を測定できることが使用の前提となる.2)カフ付きチューブは,高い気道内圧を必要とする症例,確実な換気が必要な症例,正確なETCO2モニタリングが必要な症例,手術中に肺のコンプライアンスが変化する症例などで利点が多い.腹腔鏡手術,心臓手術,脳外科手術,長時間手術などが該当する.3)いずれのチューブも正しく使用することで,術後合併症に差はないとされる.●2 サイズ選択とカフ圧管理1)カフなしチューブは,声門,輪状軟骨部を通過するときに抵抗がなく,かつ気道内圧20~30 cmH2Oでチューブ周囲にリークを認めるサイズを選択する.サイズの目安(Coleの式,→「V-1-1.基本となる気管チューブのサイズと挿入長」p.340参照)に従って選択するが,リークを認めないときはサイズを下げる.リークが多すぎる(換気量が不十分となる,カプノグラムが表示されない)ときはサイズを上げる.このため,目安となるサイズとその上下の合計3本を準備表1 カフ付きチューブ,カフなしチューブの利点と欠点カフ付きチューブカフなしチューブ利点・ 喉頭展開の回数を減らせる(サイズの変更が少ない)・カプノグラムが正確・手術室内大気汚染がない・新鮮ガス流量を減らせる・誤嚥のリスクを減らせる・ 内径がより太いチューブを用いることができるため,気道抵抗が低い,気管吸引が容易,閉塞のリスクが低い・挿入長の安全域が広い・コストが安い欠点・カフ圧の測定を必要とする・ 虚脱したカフそのものや,カフのスリーブ部分の段差による気道粘膜損傷の可能性・ 挿入長の安全域が狭く,カフが声帯にかかる,あるいは気管支挿管のリスクが高い・ 細いチューブを用いるため,気道抵抗が高い,吸引を行いにくい,閉塞のリスクがある・コストが高い・ 頭位,気道内圧,肺コンプライアンスなどの変化により,リークが増減する・喉頭展開の回数が多くなる可能性・ リークが多いと,カプノグラムが不正確,手術室内大気汚染,加湿不十分,新鮮ガス流量が多く必要,誤嚥のリスク2.気管挿管法II.小児麻酔の流れと手技

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