2408臨床小児麻酔ハンドブック改訂第4版
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178•3.開胸手術の麻酔1分離肺換気(片肺換気,一側肺換気) 近年は細径のダブルルーメンチューブ(double lumen tube;DLT)や気管支ブロッカーが使えるようになったことや胸腔鏡下手術の増加により,小児でも分離肺換気が行われている.分離肺換気により良好な術野が得られるとともに,分泌物の健側への流れ込みを防止できるなど利点が多いが,特に年少児では繊細な手技を必要とし,低酸素血症やバッキングなどをきたさないよう,注意深く行う必要がある.●1 分離肺換気の方法1) 小児に対する分離肺換気の方法としては,以下のような方法がある.筆者らの施設では学童後期以降は下記の,2歳以上では同または,2歳未満では同またはの方法を用いることが多い.ダブルルーメンチューブ1)成人の開胸手術でよく使用されるものである.表1にダブルルーメンチューブの一例を示す.最小サイズは26Frで,これは通常のカフなし気管チューブの外径(表2)と比較すると,内径6.5~7.0mmの気管チューブに相当する.2)小児での使用方法は成人と変わるところはないが,26Fr・28Frのダブルルーメンチューブは内腔が小さいため,位置確認のために細径の気管支ファイバースコープを必要とする.3)選択的に左右の気管支を吸引することが可能である.Arndt気管支ブロッカーⓇ1)先端にバルーンのついたカテーテルを術側の主気管支に留置し,バルーンを膨らませることで片肺が換気されないようにする方法である.添付のアダプターにより,換気しながら気管支ファイバースコープでの観察とカテーテル挿入を同時に行うことができる(図1).2)5Fr,7Fr,9Frの3種類のサイズがある.最小の5Frは外径約2mmである.これと直径2.2mmの気管支ファイバースコープ(OLYMPUS LF-P)との併用によって,内径4.5mmの気管チューブに挿入可能で,およそ2歳以上の患児から使用できる.各サイズのブロッカーに適応する気管チューブを表3に示す.表1 ダブルルーメンチューブのサイズ商品名チューブサイズ(Fr)チューブの外径(mm)RUSCHブロンコパートⓇ26 9.3(長径) 28 10.0(長径) ブロンコ・キャスⓇ気管支内チューブ28 9.3 32 10.7 表2 PORTEXⓇ気管チューブ(カフなし)のサイズ内径(mm)外径(mm)6.0 8.26.5 8.97.0 9.67.510.38.010.93.開胸手術の麻酔IV.手術別,各科別の小児麻酔

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