2419子どもの精神保健テキスト 改訂第2版
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23)新しい区分・ AYA世代(adolescents and young adults,思春期と若年成人の略語):概ね15歳~30歳前後(~40歳までの人)を指す.4.法令等による区分 表1を参照.3.乳児期の概念 乳児とは,児童福祉法においては満1歳未満(1歳の誕生日の前日まで)の子どもを指す.一般には「離乳が完了して歩行が可能となる時期まで」という意味で,出生から生後約1年~1年半,時に2歳未満を指すこともある.生後4週未満の乳児は新生児とよぶが,新生児期は乳児期に含まれる. 乳児の身体的成長の速度は誕生後のあらゆる時期の中で最大であり,出生時に比べて体重は約3倍,身長は1.5倍となる.運動発達も目覚ましく,出生直後は原始反射と無目的に手足を動かすのみであったものが,乳児期が終了する時期には自立歩行の開始の時期を迎える. 精神発達に関しても,乳児期から著明である.ここちよい皮膚感覚,聴覚刺激,視覚刺激などを体得することで,発達が促進されるため,この時期には乳児の自発的行動に対する周囲の者の適切な応答的態度や愛情をもった働きかけが,安定感や心身の発達に最も重要である.4.幼児期の概念 幼児とは,児童福祉法においては乳児期満了(満1歳)~学齢(小学校就学時)を指す.就学時には,満6歳を迎えたばかりの子どももいれば,ほどなく満7歳の誕生日を迎える子どももいる.しかし,幼児の終了時期は満6歳までという個別的な扱いではなく,就学時(満6歳の4月1日)としている.それは以降の学齢,学童期という呼称との関連もある. 粗大運動†の発達は乳児期に完成するが,幼児期は微細な運動と言葉の発達が著明な時期である.言葉はコミュニケーションの手段となるとともに,思考の手段にもなる.すなわち,言葉は知識の獲得,概念の理解,推論や想像,創造を可能にし,自分の感情,意志などを他者に伝え合う機能をもつ人間の精神発達の源泉である.言葉の発達は一般に,①前言語的段階,ブーブー,バブバブなどの喃語を通して発声,構音機能が発達する段階(0~約満1歳),②発語の音韻の習得,ママ,ワンワンのような一語文の時期(~満1歳後半),③文法の習得と語彙の増加,単文の段階(~満3歳),④語彙の急激な増加,複文の段階,言葉がコミュニケーション手段・思考活動の手段となる時期(~満6歳),という4段階を経る.5.学童期・学齢期の概念 学校に就学して教育を受けることが適切とされる年齢のことを「学齢」という.日本では,満6歳の誕生日以後の最初の4月1日から9年間(満15歳に達した日以後の最初の3月31日まで)が該当する.また,「学童期」とは,一般的には小学校入学~卒業にかけての時期,つまり小学生(文部科学省でいう「児童」)に相当する.狭義には学童期は,人格の基礎が形成される「幼児期」と,第二次性徴が現われる身体的変化とともに,親から精神的に自立して自己を確立していく「思春期」との間に位置し,情動的に安定して外部世界への関心や好奇心を高める時期である. しかし,一般に小学生高学年になると第二次性徴が出現するため,思春期と学童期には重なりがある.精神保健では,学籍による分類ではなく,個々の成長発達段階での分類であるため,学童期とは「就学時から思春期を迎えるまでの小児」を示すものである.†: 姿勢の保持や移動運動など,全身を使い大きく動く運動のこと.

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