2422小児泌尿器科学
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1176 先天性腎盂尿管移行部通過障害(2)と99mTc-MAG3(mercapto-acetyl-triglycine)が一般的である.99mTc-DTPAは糸球体排泄物質のため糸球体濾過率の測定が可能である.99mTc-MAG3は糸球体,尿細管で分泌されるため,測定できるのは有効腎血漿流量となる.手術適応は,分腎機能の低下と尿路閉塞の有無から総合的に判断する.片側UPJOの症例では患側の分腎機能が40%以下,または観察期間中に5~10%低下した場合を手術適応とすることが多い.尿路閉塞は尿路から核種が半減する時間(T1/2)から判断する.利尿剤の反応がみられてからのレノグラフィの近似直線を引き,核種のカウントが半分になるまでの時間を使用し,T1/2が15分未満を非閉塞型,15~20分未満を境界型,20分以上を閉塞型とすることが一般的である.利尿レノグラフィから判断した尿路閉塞は手術適応にならないとの報告 10)もあるが,高度の水腎症では臨床経過と相関するとの報告 11)もあり,手術適応を決める際の判断材料となる.SFU分類grade 4の症例で行なった利尿レノグラフィを示す(図4).注意点として,検査間隔の明確な基準がないこと,両側UPJOでは分腎機能の判断基準がないことがあげられる.DMSA(dimercaptosuccinic acid)腎シンチグラフィ(有用度:★)DMSA腎シンチグラフィを用いて簡便に分腎機能を評価することもできる.DMSAは尿細管集積物質であり,腎皮質機能を測定できるため,腎血漿流量と相関する.しかし,DMSAでは分腎機能の低下が通過障害を伴うものかの判断ができない.CT(有用度:★)CTは,中部~下部の尿管や膀胱尿道まで含めた尿路全体の状態を1つの検査で確認することが可能である.手術が必要な症例において交差血管cd辺縁の腎杯中心の腎杯APD後APDを測定腎杯の部位ごとの拡張を確認前grade 0SFU分類UTD分類(出生後)grade 1grade 2grade 3grade 4正常APD10mm以下かつ腎杯・尿管拡張なしP1Low riskAPD 10~15mm未満または中心の腎杯拡張ありP2Intermediate riskAPD 15mm以上または辺縁の腎杯・尿管拡張ありP3High riskAPD 15mm以上かつ腎実質の菲薄化ありまたは膀胱・尿管異常あり図3SFU分類とUTD分類の比較[文献8より改変]

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