2434千葉大学病院 病院感染予防対策パーフェクト・マニュアル 改訂第2版
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4手洗い,手指消毒 医療従事者の手指を介しての交差感染を予防する.すべての医療行為の基本となり,感染防止においても重要な行為である.① 目にみえる汚染がある場合は,流水と石けんによる手洗いを行う.効果的な手洗い方法は図A—1を参照.② 目にみえる汚染がない場合は,速乾性手指消毒剤を用いる.速乾性手指消毒剤による手指の消毒方法は図A—2を参照.手洗いの種類 手洗いには衛生学的手洗い,手術時手洗い,一般的手洗いがあり,患者とかかわる医療従事者は職種に関係なく衛生学的手洗いや目的に応じ手術時手洗いを実施する.手荒れ防止のためハンドケアを実施する.1)衛生学的手洗い(hygienic handwashing) 皮膚通過菌と一部の常在菌を一時的に除去することを目的とする. a) 手に汚れがみえる場合は効果的な手洗い手順を守り30秒程度の時間をかけ,流水と石けんによる手洗いを実施する. b) 手に汚れがみえない場合は速乾性手指消毒剤のみで消毒をする. c) 排泄のケアや吐物処理後は流水と石けんによる手洗いを実施する.2)手術時手洗い(surgical handwashing) 手術など侵襲的な手技の前に行われる手洗いであり,最も衛生水準の高い手洗いである.通過菌と常在菌を除去することを目的としている. a) ブラシ法: 古くからの方法で,スクラブ剤を使用し,ブラシを用いて手指から前腕部を消毒・洗浄する方法. b) ラビング法: 通常の石けんで手洗い後,速乾性手指消毒剤で消毒する方法.効果と手荒れ予防の観点から現在主流とされる方法. c) ツーステージ法:ブラシ法とラビング法を合わせた手法.手洗い・手指消毒が必要な場面① 患者に直接接触する前.② 侵襲的処置を行う前(血管内カテーテル,尿道カテーテル挿入時など).③ 体液,排泄物,粘膜,傷のある皮膚,被覆した創傷に触れた後.④ 同一患者の汚染部位から清潔部位に移る場合.⑤ そのほか,汚染が考えられる場合.手指衛生時の注意点① 指輪や腕時計などは手洗いの邪魔になり,十分な洗浄ができないので外す.② 手指衛生の教育は年1回程度を目安に部署ごとに実施し,手技の確認をする.手指衛生A 標準予防策2

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