2452言語聴覚士ドリルプラス 運動障害性構音障害
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読み解くためのKeyword13解答第2章 運動障害性構音障害の基礎胸郭・横隔膜・胸腔 肺は胸郭と呼ばれる入れ物の中にある。胸郭は籠のように骨が組み合わさった部分〔肋骨,胸骨,椎骨(胸椎)〕と,骨についた呼吸筋(内肋間筋,外肋間筋,横隔膜)からできている。 横隔膜は胸腔と腹腔を分けるドーム状に張った横紋筋(随意筋)で,横隔神経の支配を受けている。横隔神経は,頸部神経叢(C3~C5)に由来する。 胸郭と横隔膜の間の空間を胸腔と呼び,安静時でも大気の空気圧よりも常に低い状態(陰圧)で保たれている1)。胸膜 肺と胸郭の内側を覆う膜のこと。肺の表面を直接覆う臓側胸膜(肺胸膜)と胸壁の内側(胸腔)を覆う壁側胸膜とに分けられる。安静時吸気 筋活動による。横隔膜が収縮して下がり,外肋間筋が収縮して肋骨を引き上げる。この結果胸郭が広がり,胸郭に付着している壁側胸膜も一緒に広がる。胸腔内の圧はさらに陰圧になり臓側胸膜を引っ張る。この働きで肺胞が広がり,空気が流入する(陰圧式の呼吸)1)。安静時呼気 収縮した横隔膜や外肋間筋が緩むことで胸膜内の圧が元に戻り,肺の弾性力のほうが強くなって,空気が押し出される。この働きは弾性復元力によってなされ,呼気筋の関与は少ない2)。努力性吸気 安静時呼吸では使用されない吸気筋が働いて行う吸気で,斜角筋や胸鎖乳突筋など補助筋も使用される。努力性呼気 安静時呼吸では使用されない呼気筋が働いて行う呼気。内肋間筋や腹直筋など腹部の筋肉も補助筋として使用される。発話時の呼吸コントロール 発話をしている時の吸気は安静時よりも素早く行われ,呼気は圧を保ちながら持続することが必要になる。 発声時の声門下圧は,通常5~10cmH2O程度である。長く話すためにはこの圧力を保ち,徐々に息を出しながらコントロールしなければならない。そのため吸気筋が活動し,弾性復元力とのバランスをとっている2)。1①胸郭,②肋骨,③胸骨,④椎骨(胸椎),⑤内肋間,⑥外肋間,⑦横隔膜,⑧臓側胸膜,⑨壁側胸膜2⑩弾性復元力3⑪5,⑫10,⑬吸気

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