2452言語聴覚士ドリルプラス 運動障害性構音障害
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読み解くためのKeyword17解答第2章 運動障害性構音障害の基礎下顎 下顎を挙上し閉口する咀嚼筋は,咬筋,側頭筋,内側翼突筋である。下顎神経(三叉神経第3枝)により支配される。下顎を下げ開口させるのは,顎舌骨筋(三叉神経支配)・オトガイ舌骨筋(舌下神経支配)・顎二腹筋(前腹:三叉神経支配)を含む舌骨上筋群と胸骨甲状筋・甲状舌骨筋・肩甲舌骨筋・胸骨舌骨筋を含む舌骨下筋群(頸神経1~3)であり1,2),さらに外側翼突筋を含む。口腔 口腔の上前方2/3が硬口蓋で,歯茎部があり,歯列をつくる。口蓋の後方1/3は軟口蓋で後方正中に口蓋垂がある。口蓋垂両側の前後2枚のヒダが口蓋舌弓(前口蓋弓)と口蓋咽頭弓(後口蓋弓)となり,その間には口蓋扁桃がある。舌の底部は口腔底と呼び,舌の下面中央には舌小帯がある2)(下左図)。軟口蓋 口蓋帆とも呼ぶ。口腔と鼻腔の間の壁で,上咽頭と中咽頭の間の通路を開閉する。軟口蓋を挙上する筋は口蓋帆挙筋である。収縮すると軟口蓋を後上方に引き上げて咽頭後壁に近づけ,鼻咽腔を閉鎖する。口蓋帆張筋は口蓋帆の緊張と耳管の開放(補助)に働く。口蓋帆挙筋の神経支配は迷走神経枝(咽頭神経叢を作る)で,口蓋帆張筋は三叉神経第3枝である2)(下中央図)。表情筋 顔面の筋である表情筋は,皮膚とつながっている皮筋であり,その運動は顔面神経支配である。筋紡錘はなく筋腱もないため深部反射がない。口唇を輪状に囲む口輪筋が口裂(開口部分)の閉鎖,口唇のすぼめや突き出しなどを行う。さらに顔面骨や筋膜から発した筋が口唇に向かって集まり,口裂を開いたり口唇を横に引くなどの運動を行う3)(下右図)。口腔顔面の一般体性感覚 咽頭以外の大部分は三叉神経が担う(咽頭の知覚は舌咽神経)。・第1枝:眼神経;頭皮,前額から鼻腔の上部までの一般体性感覚。・第2枝:上顎神経;鼻腔の下部から硬口蓋,軟口蓋,上顎,上歯までの一般体性感覚。・第3枝:下顎神経;頬粘膜, 舌の前2/3(舌神経),口腔底,下顎の一般体性感覚。●口腔の各部位●軟口蓋筋(背面から)●表情筋前口蓋弓(口蓋舌弓)後口蓋弓(口蓋咽頭弓)口蓋扁桃舌小帯口腔底口蓋垂軟口蓋硬口蓋口蓋帆挙筋口蓋帆張筋上唇挙筋上唇鼻翼挙筋小頬骨筋大頬骨筋口輪筋口角下制筋笑筋下唇下制筋オトガイ筋1①閉,②咀嚼,③咬,④側頭(③,④は順不同),⑤三叉,⑥下顎,⑦顎舌骨,⑧舌下,⑨顎二腹,⑩上筋2⑪硬,⑫軟,⑬口蓋舌,⑭口蓋咽頭(⑬,⑭は順不同),⑮舌小3⑯上,⑰中(⑯,⑰は順不同),⑱鼻咽腔,⑲口蓋帆挙,⑳耳管,㉑迷走4㉒口裂,㉓口輪,㉔突き出し,㉕顔面,㉖筋紡錘,㉗関節

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