2456言語聴覚士ドリルプラス 言語発達障害
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読み解くためのKeyword9第2章 言語発達障害の基礎解答1①クーイング,②ボーカルプレイ,③規準喃語,④ジャルゴン,⑤初語2⑥生理的微笑,⑦社会的微笑,⑧共同注意,⑨指さし,⑩社会的参照3⑪9,⑫事物の永続性,⑬手段―目的4⑭定頸,⑮寝返り,⑯座位,⑰はいはい(⑯,⑰は順不同)クーイング 2~4か月頃に聞かれるアーアーのようなおもに母音からなる音声表出のことである。母音だけでなくk音に近い音も産出される。このク―イングの発声は単なる反射的なものではなく,大人との相互交渉(やりとり)のときに頻繁に聞かれる。ボーカルプレイ クーイングから喃語へ移行する時期に聞かれる,いろいろな高さや長さの音を発声することである。自分が発する音を聞いて楽しんでいるので,ボーカルプレイとよばれる。規準喃語 6か月頃になると母音と子音を組み合わせて[bababa]のような音を産生する。生理的微笑 生後間もない乳児はまどろんでいるときなど,何に対しても微笑みかける。外部の刺激とは無関係に起こるので生理的微笑という。しかし,3か月を過ぎると人の顔に対して特定的に微笑むようになる。このことを社会的微笑という。共同注意 9か月頃の乳児はコミュニケーションしている相手と同じものに注意を向ける。このように相手と注意や興味を共有することを共同注意という。語彙の獲得には共同注意が重要といわれており,Tトマセロomaselloによると大人が視線を向けた事物に子どもも注意を向け,大人がその対象を見て「犬」と言うと,その事物が犬という名前をもっていることを理解する。社会的参照 9か月頃になると,乳児は大人の表情や反応を見て,自分がどのようにふるまうのかを決定する。このことを社会的参照といい,視覚的断崖の実験1)で証明された。視覚的断崖の実験は乳児の奥行き知覚を調べる実験であったが,社会的参照についても明らかにした。断崖の向こう側にいる母親が怖い顔をすると乳児は断崖を越えようとはしないが,母親が笑顔になると乳児は断崖を越えようとする。つまり,母親の顔色を見て自分の行動(断崖を渡るか)を決定していたのである。事物の永続性 視界からモノが消えたとしても,実際には存在し続けていることがわかることをいう。生後9か月以降に発達する。この能力は表象能力の始まりといわれ,言語発達には非常に重要な認知能力である。手段―目的関係 ある手段を使うことで,自分の目的を達成できることを理解できる。たとえば,子どもは電話のおもちゃを楽しむが,ボタンを押す(手段)とキャラクターの声を聴くことができる(目的)ということを理解しているということである。これは,声を出す(手段)ことで,母親に振り向いてもらう(目的)を理解することにつながり,言語コミュニケーションの基礎となる。●視覚的断崖の実験

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