2505高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版 2022年追補版
2/6

追補版の概要と『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン(第3版)』との対応 『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン(第3版)』(以下,『ガイドライン(第3版)』)の発表後,関連する新たな知見や重要な進展が国内外で得られている.この度,追補版を発刊するに至り,その背景と加筆した要点を以下にまとめる. 2020年に米国リウマチ学会(ACR)から痛風管理ガイドラインが発表された.わが国の『ガイドライン(第3版)』と比較して,痛風に関しては両者に共通点が多いが,高尿酸血症に関しては相違点がある(第1章 総論 1[p.2]参照).両ガイドラインは共にGRADE法で作成されているが,時代とともに診療ガイドラインのあり方は変化している.『ガイドライン(第3版)』で用いた日本医療機能評価機構EBM医療情報事業(Minds)の作成マニュアルは,2020年にver.2.0からver.3.0へ更新された.次期ガイドラインの課題として,ver.3.0では患者の価値観や希望並びに医療経済の観点が強化されている点を記載した(第1章 総論 1[p.2]参照). ガイドラインは,発刊後に医療への効果をモニタリングすることが義務付けられている.そのために『ガイドライン(第3版)』の発表後に日本痛風・尿酸核酸学会が行った広報活動とアンケートを通じて調査した普及状況を記載した(第1章 総論 2[p.6]参照). 『ガイドライン(第3版)』でシステマティックレビューした文献の対象期間後に,重要な3編のランダム化治療介入研究結果が発表された.これらの成績を踏まえて,関係箇所に加筆した(第2章 治療 3[p.24],5[p.32],8[p.41],9[p.45]参照).わが国で開発された新規尿酸降下薬ドチヌラドが,2020年から診療現場に登場した.ドチヌラドは,従来の尿酸排泄促進薬に比べ尿酸トランスポーターへの選択性が高いことから,適応や安全性について記載した(第2章 治療 3[p.24],5[p.32],6[p.36],7[p.39],9[p.45],10[p.48],11[p.52]参照).追補版では,表1のように尿酸降下薬を作用機序に基づいてカテゴリー分類し,薬理学的特徴を理解しやすいように新規項目を設けて解説した(第2章 治療 2[p.18]参照). 新規項目を含めた追補版と『ガイドライン(第3版)』の対応を図1に示す.追補版では『ガイドライン(第3版)』の序章~第3章Bまでの重複を避けたが,第3章Cは加筆の有無にかかわらず掲載した.追補版で加筆した箇所には下線を,新規収載文献は★印を付けて表示した.表1尿酸降下薬のカテゴリー分類と保険適応薬1.尿酸生成抑制薬 1)プリン型キサンチン酸化還元酵素阻害薬アロプリノール 2)非プリン型キサンチン酸化還元酵素阻害薬フェブキソスタット,トピロキソスタット2.尿酸排泄促進薬 1)非選択的尿酸再吸収阻害薬ベンズブロマロン,プロベネシド,ブコローム 2)選択的尿酸再吸収阻害薬(SURI)ドチヌラド3.尿酸分解酵素薬ラスブリカーゼviii

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る