2510明日から使える!小児がん治療のオキテ
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第1章 化学療法中に起こるいろいろなことリン生理食塩水または生理食塩水で陽圧ロックを行います.滅菌操作,シリンジの取り扱いや患者に実際に薬液を注入するなどの難易度が高い手技であるため,十分な練習が必要になります.患者が動いてしまう場合は協力する家族の有無を確認し,実施方法を具体的に検討する必要があります.また,CVカテーテルのコネクタが緩み血液の逆流が生じた場合にはクランプを閉じることや,陽圧ロックを実施する際に薬液が固くて入らない場合の対処法などの生じうるトラブルについては,説明しておく必要があります.消毒や固定方法はどうするの?週に1回,クロルヘキシジン含有製剤などで刺入部を消毒し,ドレッシング材を交換します.はじめに,剝離剤を用いて愛護的にテープを剝がし,刺入部とその周囲の皮膚の状態を家族と確認します.赤みがある場合には医師に報告し軟膏塗布,ドレッシング材の変更を検討します.次にCVカテーテル挿入長に変化がないか(抜けていないか)を確認します.その後,刺入部を中心から外に向けて円を描くように消毒し,テープを再貼付して終了となります.ルートはS字などで固定し,引っぱられても抜けることがないような工夫が必要です(図2).発達段階によっては,気にして触ってしまう場合があります.その際は服の中に手が入らないような衣服の着用や,スタイなどを使用して固定することもあります.家族によっては傷口のようにみえるCVカテーテル刺入部に苦手意識をもつこともあるため,必要性を説明し,慣れてもらうためにも早期介入が必要となります.図2 固定方法の例図1 防水テープでの保護参考文献・ Guidelines for the Prevention of Intravascular Catheter-Related Infections, 2011(https://www.cdc.gov/hai/pdfs/bsi-guidelines-2011.pdf)(2021年6月1日アクセス)(柴田映子)??80

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