2510明日から使える!小児がん治療のオキテ
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第4章 新しい治療法における合併症対策何が起こっている?ブリナツモマブ(ビーリンサイトⓇ)は,再発・難治B前駆細胞性性リン性白血病(B cell acute lymphoblastic leukemia:B-ALL)の治療薬であり,B-ALLの腫瘍抗原であるCD19を標的とした二重特性T細胞誘導(bispecific T-cell engager:BiTE)抗体です1)2).28日間の持続点滴投与を行い,その後14日間の休薬を行います.これを1サイクルとして,必要なサイクル数を繰り返します.ブリナツモマブ開始後数日~1週間以内にサイトカイン放出症(cytokine-release syndrome:CRS)が起こりえます.多くの場合,1日~数日の発熱のみですが,時に,血圧低下,低酸素血症,AST/ALT上昇,播種性血管内凝固症などを伴った重篤なCRSを発症することがあります.ブリナツモマブに関連したもう1つの代表的副作用として,神経学的事象があります.CRSがブリナツモマブ投与初期に起こることが多いのに対し,神経学的事象は投与中いつでも起こりえます.軽症例では書字障害や軽度の錯乱など,重症例では脳症やけいれんなどが起こります.これらの症状は,ブリナツモマブ投与によって患者自身のT細胞が活性化・増殖したことによる反応と考えられています.また,ブリナツモマブの投与によって,CD19抗原をもつ正常B細胞が減少し,低ガンマグロブリン血症になることも知られています.一方で,従来の化学療法で頻度の高かった副作用,たとえば,貧血や血小板減少,正常白血球(特に好中球)の減少,粘膜障害などは非常に少なく,全くなる毒性プロファイルをもった治療薬といえます.ブリナツモマブの副作用は,従来の抗がん剤の副作用とは全く異なる!オキテどうして起こるの?ブリナツモマブは,B-ALL細胞に発現しているCD19抗原に特的に作用すると同時に,CD3抗原をもつ患者自身のT細胞(免疫細胞)をB-ALL細胞に誘導して活性化・増殖させ,T細胞によ????Qブリナツモマブの副作用を教えてください!Bブリナツモマブの副作用184

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