2512高齢者診療のための臨床検査ガイド
5/8

第3章 各論②:各臨床検査値の見方と次の対応c含窒素化合物,生体色素,腎機能c 含窒素化合物,生体色素,腎機能 ┃177┃パニック値または見逃してはならない異常値・TBの値自体はいくら高くても致死的にはならない.肝代謝能の指標としてTBを用いる場合は,3.0 mg/dL未満が手術や化学療法の適応となることが多い.追加すべき診察,検査・閉塞性黄疸の除外が第一であるため,灰白色便や赤褐色尿の有無を問診する.胆道系の拡張を確認するためただちに腹部超音波や造影CTを追加する.確認すべき基礎疾患・処方薬剤・高齢者の糖尿病新規発症や血糖コントロール不良は膵癌発症を想起する所見である.閉塞性黄疸の原因となる癌でもっとも頻度が高いのは膵癌である.高齢者診療や在宅医療でのポイント・高齢者の黄疸をみたらまず閉塞性黄疸を除外する.閉塞性黄疸が否定された後にゆっくり鑑別を行う.・閉塞性黄疸の診断には造影CTが望ましいが,腎機能低下など基礎疾患がある場合は腹部超音波検査やMRIでも代用できる.参考文献・ 河合 忠(監修),山田俊幸,他(編):異常値の出るメカニズム.第7版,医学書院,2018(多田大和)脾HbIB肝IBDB腸DBウロビリノゲン胆管門脈図1 ビリルビンの代謝経路黄疸の種類DB↑:抱合後に逆流IB↑:抱合が間に合わない相対的:IBが増える絶対的:肝細胞が減る広範な肝内胆管閉塞肝外胆管閉塞溶血肝炎・肝硬変胆汁うっ滞閉塞性黄疸自己免疫性溶血性貧血などウイルス性,薬物性など薬物性,PBCなど癌,結石など図2 黄疸の分類

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る