2523言語聴覚士ドリルプラス 器質性構音障害
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読み解くためのKeywordKeyword21解答第2章 器質性構音障害の基礎口蓋化構音 口蓋化構音とは,歯・歯茎で産生される[t, d, n, s, dz, ɾ, ɕ, dʑ, tɕ]などの構音点が口蓋後方に後退する特異な構音操作である。聴覚的には,歯茎破裂音[t, d]が軟口蓋破裂音[k, ɡ]に近い音に,歯茎摩擦音[s, ɕ]が硬口蓋摩擦音[ç]に近い音に,歯茎硬口蓋破擦音[tɕ]は硬口蓋化した軟口蓋破裂音[kj]に近い音に聴取される。 視覚的に観察すると,舌尖の動きがみられず,舌背と口蓋で音を産生していることがわかる。また舌に過度の緊張がみられ,棒状になりやすく,舌の力を抜くようなコントロールが難しいことが多い。 口蓋化構音の要因として,口蓋形態の異常が指摘されており,歯列や口蓋形態の狭窄,反対咬合,口蓋前方部の深度の浅さや口蓋瘻孔の残存などが一因として考えられている1)。また,器質性構音障害のなかでは最も高頻度でみられる異常構音であり,口蓋裂にみられる構音障害としても口蓋化構音が最も多い。側音化構音 側音化構音とは,舌が口蓋に広く接し,本来正中から放出されるべき呼気が口蓋側方から放出される特異な構音操作である。呼気の放出方向は,両側の場合もあるが,舌や下顎,口角を側方に偏位させるため,左右どちらかの片側から放出されることが多い。 また,舌運動に関しても舌尖を使わず,舌背が口蓋に接し,舌の形状が円柱状に過緊張状態になっている。 障害されやすい音は,[s, tɕ, ts, dz, k, g]と多様であるが,後続母音が[i]列と[e]列にみられやすいという特徴がある。聴覚的印象は[tɕi]が[kj]に,[ɕi]が[çi]に,[dʑi, ɾi, ni]が[ɡi]に近い歪み音として聴取される。 側音化構音の要因は特定されておらず,機能性構音障害において最も高頻度にみられる異常構音である。ただし,口蓋裂例のなかには口蓋化構音と側音化構音を重複しているケースもあり,歯列不正や交叉咬合など咬合異常が構音に関連する場合もある。鼻咽腔構音 鼻咽腔構音とは,舌が口蓋に接して口腔を閉鎖し,呼気を鼻腔から流出させる特異な構音操作である。高舌母音[i]や[u]に多く出現し,母音の場合は鼻音に置換され,破裂音や摩擦音産生時は鼻咽腔部分で閉鎖や狭めが生じる。 障害されやすい音は,[s, dz, ɕ]などで特に後続母音が[i]や[u]でみられやすい。聴覚的印象は[ɴ]に近い歪み音として聴取され,鼻の奥で産生されているような印象を受ける。 鼻咽腔構音が出現すると呼気の鼻漏出を認めるが,これは鼻咽腔閉鎖機能不全によって生じているわけではない。鼻咽腔閉鎖機能不全であれば,すべての音が鼻音化した歪み音になるが,鼻咽腔構音は特定の音に限って起こる。たとえば,サ行の場合[ɕi]または[su]で呼気鼻漏出がみられ,その他の[sa, se, so]では正常な構音操作が可能で鼻漏出はみられない。1①歯茎,②軟口蓋,③ 舌尖,④緊張,⑤口蓋裂,⑥器質性2⑦正中,⑧側方,⑨舌尖,⑩緊張,⑪口角,⑫[i],⑬側音化構音3 ⑭鼻腔,⑮[i],⑯[u](⑮,⑯は順不動),⑰[ɴ],⑱鼻咽腔閉鎖

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