2527脳血管内治療の進歩ブラッシュアップセミナー2021
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1はじめに1 わが国では,経静脈塞栓術(transvenous embolization:TVE)を中心に硬膜動静脈瘻(dural arteriovenous fistula:dAVF)の血管内治療が行われてきた.また,Borden type 1などの静脈洞が開存しTVEが困難な症例に対しては,姑息的な経動脈塞栓術(transarte-rial embolization:TAE)を重合型塞栓物質であるNBCAやparticleを用いて行ってきた.しかし近年,析出型非接着性液体塞栓物質であるOnyxがdAVFに使用できるようになってきたことと,静脈洞をシールできるバルーンにより,従来根治困難であった症例をTAEで根治できるようになってきた1,2).適応2 バルーンによる静脈洞温存を併用したTAEの適応となる硬膜動静脈瘻は,Borden type 1の硬膜動静脈瘻,とくにTransverse si-nus-Sigmoid sinus(TS-SS)junction dAVF があげられる.また,Borden type 2 dAVFで,今まではsinus packingが選択されてきた症例の中に静脈洞をバルーンで温存しながらTAEを行い,皮質静脈の逆流を改善しながら根治できる症例が存在する.静脈洞閉塞用バルーン3 本手技では静脈洞をシールするバルーンが重要である.バルーンに求める性能は,①不整形の静脈洞に沿って拡張すること,②拡張時の圧が高くないことがあげられる.静脈洞静脈洞をバルーンで温存したdAVFの根治的経動脈塞栓術I 硬膜動静脈瘻update20211昭和大学藤が丘病院脳神経外科 津本智幸 ◉Onyxと静脈洞をシールできるバルーンが使用できるようになってきたことで,従来根治困難であった症例をTAEで根治できるようになってきた. ◉我慢できない耳鳴を呈するBorden type 1 TS-SS junction dAVFなどが本法の適応となり,シャントポイントとvein of Labbeが離れている症例がよい適応である. ◉Onyx注入用カテーテルがシャント近傍まで誘導できることが成功の鍵の一つであり,血管に応じて,バルーンカテーテルか,超細径マイクロカテーテルのいずれかを選択する. ◉バルーン拡張により,シャントが閉塞していること,静脈流出路が障害されていないことを確認できれば,Onyx注入で根治できる可能性が高い.ssential PointEE

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