2536分散脳
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B感覚(聴覚・触覚)D言語・コミュニケーションE注意・実行機能(セルフ・コントロール)F構成行為・運動G対人心理C認知152 産道を通った記憶A記憶る.20週くらいで心音などが聞こえ,徐々に外からの音も聞こえるようになる.生まれて間もない赤ちゃんの研究では,赤ちゃんがお母さんの声を好み2),続いて同じくピッチが高い女性の声を男性の声よりも好むことや,お母さんの母国語と外国語を区別できること3),同じ母国語でもお腹のなかで何度も聞いた物語をより好むこと4)などがわかっている.胎児は徐々に音の種類を聞き分けられるようになり,言語音とそれ以外の音と区別し,また,馴染みのあるものとそうでないものを聞き分け,馴染みのあるものを好むことがわかっている.胎児は母親が「ら」といったときは口を開き,「る」では開かないなど言語音を区別するだけでなく,それに反応もしているという報告もある5).2.みほさんの胎児期 みほさんの経験から胎児が温度,触覚,明暗を感じとっていること,そして快,不快がそれにより生じることがわかる.子宮内の温度は一般に一定と考えられているが,実は時により微妙な変化があり,それによりみほさんは「嫌な感じ」になったとのことである.何によって温度の変化が起きるのかはわからないが,みほさんが「母の心の負の影響」と直感するような関係性を胎児が感じとっていることが伺われる.誰かが母体のお腹を触っていることがわかり,しかも快と感じるときと不快と感じるときがあるとのことである.心地がよいときは体を動かし,母体の動きが激しくなると安定できるところに移動したりと既に刺激に対して意図的運動が行われているようである. 聴覚に関してはみほさんによれば最初は「響き」,次に「リズム」,つまり音の強弱と間がわかり,続いて「声」,つまりピッチがわかるようになったとのことである.聴力の分解能力が徐々に向上していったことが伺われる.みほさんはお母さんの顔がわかるまでは8年ほどを要したが,声については生まれたときにはお母さんの声が聞き覚えがある声であるとわかり,その後はお母さんは声とにおいでわかったとのことなので,生まれる前に学習が行われることは確かなようである.文 献 1) Kuriak A, Stanoievic M, Andonotopo W, et al.:Fetal behavior assessed in all three trimesters of normal pregnancy by four‒dimen-sionalu ultrasonography. Croat Med J 46:772-780, 2005. 2) DeCasper AJ, Fifer WP:Of human bonding:newborns prefer their mothers’ voices. Science 208:1174-1776, 1980. 3) Mehler J, Jusczyk P, Lambertz G, et al.:A precursor of language acquisition in young infants. Cognition 29:143-178, 1988. 4) DeCasper AJ, Lecanuet JP, Busnel MC, et al.:Fetal reactions to recurrent maternal speech. Infant Behavior and Development 17:159-164, 1994. 5) Ferrari GA, Nicolini Y, Demuru E, et al.:Ultrasonographic investigation of human fetus responses to maternal communicative and non‒communicative stimuli. Front Psychol 7:354, 2016. doi:https://doi.org/10.3389/fpsyg.2016.00354 2016.

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