2548血液検査×総合診療
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59Ⅱ-1 白血球減少軽度,500~1,000/µLを中等度,500/µL未満を高度(重度)の好中球減少とする1,2).・・無顆粒球症は厳密には好中球が全くない状態であるが,好中球数500/µL未満を無顆粒球症とすることが多い.・・好中球数は人種によって異なり,特にアフリカ系人種では好中球数が少ないことがあり,時に1,500/µL以下の好中球減少を認めることがある(ethnic benign neutropenia)4).⇔⇔しかし1,000/µL以下になることは少なく,感染症の合併率や重症度は増加しない.・・好中球減少は,①産生の低下,②分布の異常,③消費・破壊の亢進,④これら複数の機序,で起こる.・・好中球減少は,先天性と後天性に分類できるが,先天性はまれである(表A-8).・・好中球減少の持続期間により,急性型と3か月以上持続する慢性型に分類される.急性型はおもに消費または破壊の亢進による.・・日常診療でみられる好中球減少の原因として,感染性,薬剤性の頻度が高い.・・ほぼすべての感染症が好中球減少をきたしうるが,ウイルス感染によることが圧倒的に多い.・・ウイルス感染に伴う場合は,おもに好中球の破壊の亢進により減少し,一過性で,感染初期に減少し,感染が治癒すれば3~7日以内に回復する.・・ウイルス以外の感染症でも好中球減少をきたすことがある.・・細菌感染症では一般的には白血球増多をきたすが,重症細菌感染症や敗血症では好中球の消費が亢進して好中球が減少することがある.・・抗腫瘍薬以外にも多くの薬剤が好中球減少の原因となり,好中球減少の原因として頻度が高い.・・薬剤歴は市販薬やサプリメントなども含めて確認する.・・造血障害に起因することは少ないが,そのような場合は,通常,好中球減少以外の血球異常を伴う.

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