2548血液検査×総合診療
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viiiはじめに患は専門施設で専門医が診療にあたるものだという“常識”が支配的になり,「血液疾患が疑われたらすぐに血液内科に紹介」となってしまうことは理解できます.確かに専門施設で専門医が診療にあたるべき患者さんや状況も多いのですが,ファーストタッチ以外にも,専門施設以外で非血液専門医が診療できる血液疾患も多いです.この本の内容は,「非血液専門医」「ジェネラリスト」が,対応可能な血液疾患患者に適切に対応するために必要なことのエッセンスです.したがって,あまり専門的なことは書いてありません.ただし,血液専門施設,血液専門医に紹介した後の検査や治療などについて,「非血液専門医」「ジェネラリスト」の守備範囲を少し超えて記載してあります.血液専門医に紹介する際に,紹介後に行われるであろう医療内容を説明するのに必要であることと,血液疾患の全体像を捉えるために有用と思われるからです.また,総合内科専門医試験などの試験を少し意識しました.ただし,血液疾患の治療は,分子標的薬を中心に新規治療が次々に開発されており,このような本では到底すべてをカバーしきれません.原則として,現時点における初発未治療例に対する標準治療のみが記載されていることをご了承ください.臨床研修医の先生方にとっても,病棟で接する血液疾患の多くは造血器腫瘍治療中の患者さんでしょうから,これらの内容が有用であると思いますし,研修でカバーしきれない領域・疾患についても研修していただけると思います.また,様々な理由で血液疾患を十分に経験できない先生方にも,血液疾患を一通り研修していただけるような内容になっていると思います.さらに,臨床研修中あるいは終了後に血液疾患患者を診る機会が少なかったために血液疾患を何となく避けるようになっておられる先生方も,血液疾患に対する苦手意識を払拭していただけると期待しています.この本には骨髄検査の標本写真はありません.骨髄検査自体は血液専門医でなくても行える検査ですが,骨髄所見を自分で確実に診断するには,やはりある程度の専門性が必要であると考えられ,この本は,非血液専門医がそこまで対応することは目指していないからです.一方,末梢血液塗抹標本は,検査室がある施設ならば,非血液専門医でも十分に評価,診断が可能であると考えられ掲載しました.ただし,白血病や異常,異型リンパ球などの異常細胞は,あまりにも多

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