診断と治療
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2023年 Vol.111 No.3 2023-03-03
日常診療における内分泌疾患
定価:2,970円(本体価格2,700円+税)
ねらい 小川純人
◆臨床所見や検査値異常からみた内分泌疾患
血圧異常と内分泌疾患 森本 聡,他
多飲・多尿と内分泌疾患 萩原大輔,他
ナトリウム代謝異常と内分泌疾患 藤沢治樹,他
カリウム代謝異常と内分泌疾患 吉田雄一,他
カルシウム代謝異常と内分泌疾患 竹田 秀
糖代謝異常と内分泌疾患 後藤広昌
◆主な甲状腺・副甲状腺疾患とその診断・治療
甲状腺疾患 中島康代
副甲状腺機能亢進症 間中勝則
副甲状腺機能低下症 野津雅和
◆副腎疾患・その他の内分泌異常とその診断・治療
原発性アルドステロン症 下澤達雄
Cushing症候群 菅原 明
副腎皮質機能低下症 田邉真紀人
性腺機能低下症(女性) 丸山哲夫
性腺機能低下症(男性) 松下一仁
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群 岩﨑泰正
インスリノーマ 池浦 司,他
免疫チェックポイント阻害薬による内分泌異常 越智可奈子,他
連 載
心電図は1枚の窓
失神を主訴に受診した86歳男性 吉賀康裕
注目の新薬
オスタバロ®皮下注(アバロパラチド) 松本俊夫
医療裁判の現場から
ICUでベッドから転落した事故について
損害賠償が命じられた事例 笠間哲史
臨床例
フルスルチアミン(アリナミン®F注)による静脈炎 小柴真一,他
内分泌疾患に関しては,早期の診断ならびに治療が重要である一方で,かかりつけ医にとって日常診療のなかで遭遇する機会はそれほど多くはなく,比較的見逃されやすい面を有すると思われる.さらにまた,患者は内分泌疾患に関連して多種多様な症状や非特異的な症候,検査所見を呈する場合が少なくなく,こうした点も診断が容易でない背景の1つと考えられる.日常診療の現場において,こうした内分泌疾患を見逃すことなく迅速かつ適切に対応するためにも,日頃から代表的な内分泌疾患の診断基準やスクリーニングを含めた必要な検査などを十分に理解することが大切である.
こうしたなか,本特集では「日常診療における内分泌疾患」と題して,日常診療を担う実地医家や医療従事者を読者に想定したうえで,「臨床所見や検査値異常からみた内分泌疾患」「主な甲状腺・副甲状腺疾患とその診断・治療」「副腎疾患・その他の内分泌異常とその診断・治療」という3章から成る構成とした.このうち「臨床所見や検査値異常からみた内分泌疾患」では,血圧異常,電解質異常,糖代謝異常などの比較的身近なデータや非特異的な症候から想定される内分泌疾患についてエキスパートの先生方に解説いただいた.「主な甲状腺・副甲状腺疾患とその診断・治療」では,甲状腺や副甲状腺における機能亢進症,機能低下症について第一線で活躍の先生方にそれぞれ詳しく取り上げていただいた.「副腎疾患・その他の内分泌異常とその診断・治療」では,副腎疾患や男女における性腺機能低下症,SIADH,インスリノーマ,免疫関連有害事象などに起因する内分泌異常やその検査・診断・治療について,最新知見に基づき,わかりやすく解説いただいた.
本特集を通じて,内分泌疾患のなかでも比較的代表的な疾患について,そのスクリーニング検査や診断・治療を含めた系統的な理解が深まり,かかりつけ医や実地医家の先生方を含め,日常診療のなかでより積極的に内分泌疾患を疑うことができるような,実際的な知識やスキルを深める契機につながれば幸いである.
東京大学大学院医学系研究科老年病学
小川純人