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書籍詳細

かかりつけ医のギモンに答える
内分泌外来診療Q&A診断と治療社 | 書籍詳細:内分泌外来診療Q&A

東京都立多摩総合医療センター内分泌代謝内科 部長

辻野 元祥(つじの もとよし) 著

初版 B5判 並製 184頁 2024年04月08日発行

ISBN9784787825810

定価:4,400円(本体価格4,000円+税)
  

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内分泌を専門としない医師を対象に,外来で遭遇する内分泌疾患のギモンについてQ&Aで解説!どういった徴候で疑うか,診断の手順,治療,どのタイミングで専門医に紹介するか,また専門医から引き継ぐかなどについて,やさしく具体的に説明している. “内分泌疾患の医療連携”のための必読の一冊!

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目次

序 文
略語一覧

第1章 症状から疑う内分泌疾患
01 肥 満
Q 二次性肥満をきたす疾患の鑑別で内分泌性肥満を疑うコツはあるでしょうか.
02 体重減少
Q 体重減少が進行する場合に念頭におくべき内分泌異常はどのようなものがありますか.
03 多飲・多尿
Q 多飲・多尿の症状がある場合,どのような疾患を疑いますか.
04 脱 毛
Q 脱毛をきたしうる内分泌疾患にはどのようなものがありますか.
05 女性の多毛
Q 女性の多毛症をきたしうる内分泌疾患にはどのようなものがありますか.
06 無月経・月経異常
Q 無月経・月経異常がある場合,どのように診断を進めますか.
07 男性の女性化乳房
Q 男性の女性化乳房ではどのような内分泌疾患が鑑別にあがりますか.
08 高血圧症
Q 内分泌性高血圧をスクリーニングするにはどのような検査が推奨されますか.
09 内分泌緊急症
Q どのような症状,検査所見から下垂体卒中を疑いますか? 疑った場合の専門医・病院につなぐまでの緊急処置について教えてください.
Q どのような症状,検査所見から甲状腺クリーゼを疑いますか? 疑った場合に開始する緊急処置について教えてください.
Q 高カルシウム血症性クリーゼを疑う症状,緊急で行う検査,緊急処置について教えてください.
Q 副腎クリーゼを疑う症状,緊急で行う検査,緊急処置について教えてください.
Q 褐色細胞腫クリーゼを疑う症状,緊急で行う検査,緊急処置について教えてください.

第2章 視床下部・下垂体疾患
01 プロラクチノーマ(PRL産生腫瘍)
Q 高プロラクチン(PRL)血症を疑うのはどのような場合ですか.また,高PRL 血症を認めた場合の鑑別診断はどのように進めますか.
Q プロラクチノーマの治療方針は薬物治療が中心となりますか.
02 先端巨大症
Q 先端巨大症を疑うのはどのような場合ですか.
Q 先端巨大症の診断の手順はどのようになりますか.
Q 先端巨大症の治療目標と治療選択肢はどのようになりますか.
Q 先端巨大症の術後はどのような点に注意してフォローしますか.
03 クッシング病
Q クッシング病を疑うのはどのような場合ですか.
Q クッシング病の診断までの手順はどのようになりますか.
Q クッシング病との鑑別が必要な疾患にはどのようなものがありますか.
Q 随時のコルチゾール値が著しく高値の場合にはどのように対処しますか.
Q クッシング病の治療目標と治療選択肢はどのようになりますか.
04 下垂体TSH産生腫瘍
Q 下垂体TSH 産生腫瘍の鑑別診断はどのように行いますか.
05 下垂体機能低下症
Q 下垂体機能低下症を疑うのはどのような場合でしょうか.
Q 下垂体機能低下症を疑う場合はどのような検査を行いますか.
Q 下垂体機能低下症の治療はどのように行いますか.
06 中枢性尿崩症
Q 多尿症の場合,中枢性尿崩症と他の疾患の鑑別はどのように行いますか.
Q 中枢性尿崩症の治療はどのように行いますか? 専門医でのフォローが必要でしょうか.
07 SIADH
Q 一般外来におけるSIADH の診断上のポイントはどこにありますか.
Q SIADH の治療上の注意点は何でしょうか.
08 偶発的下垂体腫瘍(非機能性腫瘍を含む)
Q 画像上で下垂体腫瘍が偶然見つかった場合は,どのように診断を進めますか.
Q 非機能性下垂体腫瘍の治療方針についてはどのように考えられていますか.

第3章 甲状腺疾患
01 甲状腺機能検査
Q 甲状腺機能異常を疑うのはどのような場合ですか.
Q 甲状腺機能検査のオーダーのコツ,また解釈する際の注意点はありますか.
Q 患者さんが甲状腺の痛みを訴えるときには,どのような疾患を考えますか.
02 非機能性甲状腺腫
Q 健診で甲状腺腫大があると指摘され,来院した場合にはどのような検査をオーダーしたらよいでしょうか.
Q 甲状腺超音波検査で形態異常を認めた場合には,どのように診断を進めますか.
03 甲状腺腫瘍
Q 甲状腺の悪性腫瘍の種類にはどのようなものがありますか.それぞれの特徴についても知りたいです.
Q 結節性甲状腺腫において悪性腫瘍を示唆する所見にはどのようなものがありますか.
04 バセドウ病
Q バセドウ病を診断する際の注意点は何でしょうか.
Q バセドウ病に抗甲状腺薬を開始する際はどのような点に注意しますか.
Q 抗甲状腺薬はどのように調整しますか.また,中止する目安はありますか.
Q 抗甲状腺薬で無顆粒球症が出現した場合は,どのように対処しますか.
Q 抗甲状腺薬による皮膚症状や肝機能障害にはどのように対処しますか.
Q 131I 内用療法(アイソトープ治療)とはどのようなものでしょうか.
Q 外科治療が必要となる場合と術前の注意点が知りたいです.
Q 甲状腺クリーゼは予後が不良といわれていますが,通常の甲状腺中毒症とどのような点に注意して鑑別すればよいでしょうか.
05 甲状腺機能低下症
Q 甲状腺機能低下症はどのように鑑別診断し,治療しますか.
Q 潜在性甲状腺機能低下症は治療したほうがよいのでしょうか.
Q 甲状腺機能正常の橋本病はどのようにフォローしたらよいでしょうか.
06 破壊性甲状腺炎
Q 亜急性甲状腺炎の治療でNSAIDs とグルココルチコイドはどのように使い分けますか.
Q 無痛性甲状腺炎のイメージがどうも捉えにくいのですが,どのような疾病なのでしょうか.
07 妊娠と甲状腺
Q 妊娠中の甲状腺機能はどのような生理的変動を示しますか.
Q 周産期のバセドウ病の管理はどのような点に気をつけますか.
Q 周産期の甲状腺機能低下症の管理目標はどのようになりますか.

第4章 骨カルシウム代謝性疾患
01 高カルシウム血症
Q 高カルシウム血症でみられる症状と鑑別診断のための検査はどのようなものがありますか.
02 原発性副甲状腺機能亢進症(PHPT)
Q PHPT はどのような疾患ですか.
Q PHPT の画像診断はどのように進めますか.
Q PHPT では追加でどのような検査を行いますか.
Q PHPT ではどのような場合に手術適応になりますか.
Q PHPT で手術しない場合,どのようにフォローアップしますか.
03 低カルシウム血症
Q 低カルシウム血症でみられる症状と鑑別診断のための検査のコツは何でしょうか.
Q 低カルシウム血症をみたら,どのように対処すればよいでしょうか.
04 低リン血症
Q 低リン血症を疑うのはどのような場合ですか.
Q 慢性の低リン血症の鑑別診断はどのように進めますか.
Q 低リン血症はどのように治療しますか.
05 骨粗鬆症
Q 骨粗鬆症はどのようにして診断されますか.
Q 骨粗鬆症に対する生活習慣指導にはどのようなものがありますか.
Q 骨粗鬆症に対する薬物療法はどのようなタイミングで開始しますか.
Q 骨粗鬆症治療薬には,どのような種類がありますか.
Q 骨粗鬆症治療薬の使い分けはどのように行いますか.
Q ビスホスホネート(BP)やデノスマブによる顎骨壊死を避けるためにはどのような注意が必要ですか.
Q ビスホスホネート(BP)長期投与では,かえって骨折のリスクが上昇することがあるのでしょうか.
Q ステロイド治療中の骨粗鬆症へはどのように対処しますか.

第5章 副腎疾患
01 副腎偶発腫瘍に遭遇したら
Q 副腎偶発腫瘍が判明したときはどのような手順で鑑別診断を進めますか.
02 原発性アルドステロン症
Q 原発性アルドステロン症(PA)はどのような疾患ですか.
Q PA の頻度や病型はどのようなものがありますか.
Q 高血圧患者においてPAを疑うのはどのような場合ですか.
Q 血漿アルドステロン濃度(PAC)と血漿レニン活性(PRA)によるスクリーニング検査ではどのようにPA の陽性判定を行いますか.
Q PA のスクリーニング検査ではどのような点に注意しますか.
Q PA の機能確認検査は必須でしょうか? また何を用いればよいでしょうか.
Q PA のスクリーニング陽性の場合,次に画像診断として推奨されるのはCT でしょうか,MRI でしょうか.
Q 副腎静脈サンプリング(AVS)は,どのような場合に患者さんに勧めるべきでしょうか.特にAVS 施行の前提となる手術が望ましいのはどのような症例でしょうか.
Q PA に対する副腎摘出術はどのような治療ですか? 内科として注意しておく点はありますか.
Q 患者さんが手術を希望されない場合,あるいは希望される場合でも両側性PA と判明した場合,PA の治療方針はどのようになりますか.
Q 片側性PA では副腎摘出術とMR 拮抗薬による内科的治療で予後の差はありますか.
Q 副腎摘出術後,高血圧が寛解に至らない場合,患者さんにその意義をどのように説明するのがよいでしょうか.
03 クッシング症候群(CS)とサブクリニカルクッシング症候群(SCS)
Q クッシング症候群(CS)とサブクリニカルクッシング症候群(SCS)は何が違うのでしょうか.
Q (副腎性)クッシング症候群を疑うコツと診断までの手順が知りたいです.
Q 随時のコルチゾール値が著しく高値の場合にはどのように対処しますか.
Q 副腎性クッシング症候群(CS)の術後はどのくらいの期間,補充療法が必要ですか.
Q サブクリニカルクッシング症候群(SCS)を診断することにはどのような意義があるのでしょうか.また,クッシング徴候を欠くこと以外,クッシング症候群(CS)の診断手順とどのような相違があるのでしょうか.
04 褐色細胞腫・パラガングリオーマ
Q 褐色細胞腫(PCC)・パラガングリオーマ(PGL)はどのような疾患ですか.
Q 褐色細胞腫(PCC)・パラガングリオーマ(PGL)を疑うのはどのような場合ですか.
Q 褐色細胞腫・パラガングリオーマ(PPGL)のスクリーニング検査は何を用いますか.
Q 褐色細胞腫(PCC)・パラガングリオーマ(PGL)はどのようにして確定診断されますか.
Q 褐色細胞腫・パラガングリオーマ(PPGL)による高血圧クリーゼはどのように注意し,また,発症した場合,どのように対処しますか.
Q 褐色細胞腫(PCC)・パラガングリオーマ(PGL)の治療方針と長期予後について教えてください.
Q 悪性褐色細胞腫・パラガングリオーマ(PPGL)はどのように診断され,またその治療方針はどうなりますか.
05 原発性副腎皮質機能低下症
Q 副腎皮質機能低下症を疑うのはどのような場合でしょうか.また,どのような手順で診断しますか.
Q 副腎皮質機能低下症に対してはどのように補充療法を行いますか.
Q 小児科からの移行医療で,副腎皮質機能低下症の患者さんをフォローすることがあると聞きました.原因疾患にはどのようなものがありますか.また,どのような点に注意したらよいでしょうか.

第6章 性腺機能低下症
01 加齢男性性腺機能低下症候群
Q LOH はどのような点で注目されているのですか.
Q LOH はどのような場合に疑い,どのようにして診断しますか.
Q LOH へのテストステロン補充療法(TRT)はどのようなものがありますか.また,TRT によって前立腺がん,前立腺肥大,心血管疾患のリスクは増加しませんか.
02 無月経・月経異常
Q 閉経期ではないのに3 か月以上月経がない場合,月経不順が持続する場合は,どのように診断を進めますか.

第7章 インスリノーマ,その他の膵神経内分泌腫瘍
01 インスリノーマ
Q 糖尿病治療中でない低血糖症状でインスリノーマの診断はどのように進めますか.
Q インスリノーマの治療と予後について教えてください.
02 その他の膵神経内分泌腫瘍
Q 膵神経内分泌腫瘍を疑うきっかけになるのはどのような症状ですか.

第8章 多発性内分泌腫瘍症
01 多発性内分泌腫瘍症1型(MEN1)
Q MEN1 を疑うのはどのような場合ですか? また,診断の過程はどのようになるでしょうか.
02 多発性内分泌腫瘍症2型(MEN2)
Q MEN2 を疑うのはどのような場合ですか? また,診断はどのように進めますか.

第9章 免疫チェックポイント阻害薬と内分泌異常
01 免疫チェックポイント阻害薬と内分泌異常
Q 免疫チェックポイント阻害薬による内分泌異常にはどのようなものがありますか.
Q 免疫チェックポイント阻害薬によるそれぞれの内分泌異常にはどのように対応しますか.

第10章 内分泌代謝疾患の移行期医療
01 移行期医療
Q 内分泌代謝疾患における成人診療科への移行にあたって留意するのはどのような点でしょうか.
02 1型糖尿病
Q 小児期発症の1 型糖尿病患者が成人診療科に移行する場合にはどのような点に留意しますか.
03 21水酸化酵素欠損症
Q 先天性副腎過形成症の患者が成人診療科に移行する場合にはどのような点に留意しますか.
04 小児期発症の性腺機能低下症
Q クラインフェルター症候群の患者が成人診療科に移行する場合にはどのような点に留意しますか.
Q ターナー症候群の患者が成人診療科に移行する場合はどのような点に留意しますか.

索 引
著者紹介

Column
肥満症治療薬拡充時代の減量・代謝改善手術
ソマトメジンはCのほかに,種類はあるの?
抗PIT-1抗体症候群
仮面尿崩症,“masked DI”とは?
妊娠性中枢性尿崩症
進化の過程におけるバソプレシン/水チャネル(AQP2) 〜海から陸へ〜
粘液水腫とは?
バセドウ病治療の胎児甲状腺機能への影響
副甲状腺の起源~海から陸へ~
秀吉の兵糧攻め後のリフィーディング症候群
サブクリニカルクッシング症候群(SCS)の呼称
LOH診断基準の15年ぶりの改訂

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序文

 内分泌疾患の多くは,症状が多岐にわたり,不定愁訴を伴うことも少なくありません.初めから内分泌代謝科専門医が診療に関与することは少なく,疾患によっては,診断に週単位,月単位のみならず,年単位を要することもあります.かかりつけ医の先生やプライマリケアを担当する先生が内分泌疾患を疑ってくださり,われわれ専門医にご紹介くださることで初めて確定診断に至り,患者さんのQOLが大きく好転することもしばしば経験することです.一方,内分泌疾患の多くは比較的頻度が低く,なじみが薄いことから,何となく苦手意識をもっておられる先生も多いのではないかとも感じていました.
 そうしたなかで,2021年秋,診断と治療社から,内分泌疾患を身近にわかりやすく紐解くような,かかりつけ医と専門医の架け橋となるような書籍の企画をいただきました.キーワードは「内分泌疾患の医療連携」です.本書は,内分泌診療のなかでも,あえて外来診療に特化したQ&A形式で執筆し,プライマリケアに従事される医療関係者の皆様にお届けすることを企図しました.診断についても,診断後の治療においても,しばしば遭遇するギモンにフォーカスを当て,最新の診療ガイドラインをもとに,さらに具体的に外来でも実行できる実践的な解決手段を示しました.
 わが国全体では,かならずしも内分泌代謝科専門医にアプローチしやすい地域ばかりではなく,地理的にも時間的にも遠い地域もあろうかと思います.専門医へのアクセスまでにできること,急を要することなどについても可能な限り具体的に述べました.
 執筆が軌道に乗ってきた2022年春以降は,2週に1回のペースで,担当の島田つかさ様,土橋幸代様とZoomミーティングを重ねてきました.遅々として進まないなか,お二人には辛抱強く見守りいただき,また貴重な助言もいただき,深謝するばかりです.
 本書の対象は,かかりつけ医の先生が第一ですが,初期研修医の先生,内分泌以外の専門医を有する先生,内分泌疾患に興味のあるメディカルスタッフの先生などにも気軽に手にとっていただければ,と期待しています.
 本書が多くの先生に「内分泌疾患って意外と面白いじゃない」と感じていただけるきっかけになり,わが国の内分泌診療の拡がりに微力ながら貢献しうることを心から祈っております.

 本書の校正作業中,能登半島地震が発災し,現地からの多くの報道に茫然とするばかりでした.災害時にも一時も治療中断が許容されない内分泌疾患の患者さんを案じていました.被災された方々にはこの場を借りて心からお見舞いを申し上げます.また,被災地で診療にあたられている医療従事者の皆様には心から敬意と感謝の気持ちを申し上げます.

2024年1月

東京都立多摩総合医療センター
内分泌代謝内科部長
辻野元祥