チャイルドヘルス
21世紀の子どもの保健と育児を支援する雑誌
子どもの保健と育児に関する話題・情報・研究を紹介し,やさしく解説. 子どものこころと身体を安全に育てるために,どうすればよいかを考える. 保育の現場ですぐに活かせる,日常生活に密着した内容. 偏見によらず,科学に裏づけされた内容. |
2022年 Vol.25 No.4 2022-03-29
子どもと暴力
定価:1,760円(本体価格1,600円+税)
Myオピニオン
「自閉症は津軽弁を話さない」研究から見えてきたこと…松本敏治
【特 集】
子どもと暴力
(企画の言葉…佐山圭子)
1 子どもが暴力的でなくなるために
~正当な怒りの発達を支え促すことの大切さ~…遠藤利彦
2 小学生の暴力行為の現状と課題…増田修治
3 児童ポルノと小児性犯罪…斉藤章佳
4 あなたは「教育虐待」していませんか?
~「あなたのために」がいつの間にか「プチ虐待」にならないために~…諸富祥彦
5 ネットいじめ…原 清治
6 子どものスポーツ・ハラスメント…藤後悦子
7 暴力から自分自身を守るためのCAPプログラム…伊藤嘉余子
8 DV家庭での子どもへの影響…千田有紀
9 「暴力の連鎖」といわれているものの実態…久保田まり
10 加害者の更生は可能か?…田中寛二
Column 子どもの自殺~背景と私たちがすべきこと~…髙橋聡美
【連 載】
◆子どもに漢方薬を使ってみよう 第4回
抑肝散~発達障害,夜泣き,神経症に漢方薬が使えます~…中島俊彦
◆知って支援力アップ! 妊娠・出産・産後にまつわる最近の話題 第5回
胎児診断…山本祐華
◆りす先生のアウトドア防災ガイド 第6回
カバンを軽く…あんどうりす
◆海外子育て体験記 第8回
休日の過ごし方(シンガポール)…佐藤麻里
◆子どものための本屋さん 第4回
忙しいあなたへ…茅野由紀
◆育児Q&A
アレルギーではないが食べ物の好き嫌いが激しい子…湯汲英史
◆海外文献の紹介
授乳中の母親のワクチン接種によって,母乳中の抗体価上昇は6か月続く…榊原洋一
自身を振り返ると,「きちんと育て導き,よき社会人にしなくては」と,責任の重さと不安から,過干渉になり子どもに余計な言葉をかけたりしました.仕事に追われ,余裕がなく自分自身の心身の状況によっては,子どもは守るべき存在であるとわかりつつ暴力的になることもありました.わが子は「お母さんが子どもの暴力の特集?」と苦笑すると思います.けれど,失敗から学んだことも多く,反省しながらこの特集に取り組みました.
離婚するつもりで結婚する人はいないし,虐待したくて子どもを産むこともないでしょう.暴力に関しては,そんなことができる心理がわからないという人がいる一方,支配せずに子どもと接する方法がわからないという人もいます.一人の固有な人格として大切にされ尊重されたという感情をもてないまま育つ人は,自分を大事にできず,他人も認められず,人間関係を信頼で築けなくなりがちです.
人間関係の始まりは,乳幼児期を通して安心感をもち愛着をしっかりとつくることからです.子どもの周りの大人たちは,子どもが見ている人間関係に上下関係はないかに注意しながら,子どもの居場所の環境を整えていくことが大事だと思います.人権に敏感で,暴力を許さない社会全体の意識の底上げが大事です.立場や役割,価値観が違ってもそれぞれが大切で,上下はないのです.子どもは,環境に上下関係・支配被支配の関係があるとそれに傷つき自分らしく生きることができなくなるのではないでしょうか?
社会的な規範はもちろんあり,行動によい悪いはありますが,感情によい悪いはなく,親自身も受け入れられる体験が必要であり,孤立しない子育てが重要だとも思います.
(ひだまりクリニック/佐山圭子)